【法人・高圧】市場連動型ではない電力会社30社比較!電気代高騰リスクを抑える固定単価プランをご紹介!
「市場連動型の電気プランは不安…」「市場価格が上がったら、電気代も跳ね上がるのでは?」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
高圧電力を利用している法人企業にとって、電気代は大きな固定費のひとつ。
できるだけコストを抑えたい一方で、価格変動によるリスクは避けたいという方も多いはずです。
そこでいま注目されているのが、市場価格の影響を受けにくい“固定単価型”の電力プランです。
本記事では、「固定単価型」「完全固定単価型」のプランを提供する新電力会社を比較し、それぞれの特徴や、どんな企業に適しているかをわかりやすく解説します。
目次
市場連動型プランとは?
法人が注意すべきリスク
市場連動型は電気料金の単価が変動する
市場連動型プランは、市場価格の変動に応じて電気料金の単価が変わる仕組みのプランです。
市場価格は、日本で唯一の電力取引市場である日本卸電力取引所(JEPX)での取引価格によって決まります。

大手電力会社が提供している「固定単価型プラン」では、どの時間帯に電気を使っても単価は一定ですが、市場連動型プランでは電力の需要と供給のバランスによって30分ごとに料金が変動します。
両プランの違いを比較してみましょう。
例えば、東京電力の業務用電力(2024年)の「その他季(7~9月以外)」の固定単価は22円42銭です。この期間中は、どの時間帯に電気を使っても料金は22円42銭になります。
一方で、市場連動型プランでは30分ごとに単価が変動します。以下に、両者の違いを図で示します。
上図の青色のグラフは、2024年10月4日の東京エリアにおける市場価格の推移を示しています。
縦軸は電気料金の単価を表し、横軸は10月4日の0時から24時までの時間帯を表しています。
図を見ると、市場価格の単価は最安値が13.99円/kWh、最高値が39.00円/kWhとなっており、1日のなかでも単価に大きな差があります。
では、市場価格はどんな時に上がり、どんな時に下がるのでしょうか。
市場連動型プランの市場価格が上下する要因は?
市場価格は、電力の需要と供給のバランスによって変動します。以下の要因が影響を与えることが一般的です。
◎市場価格が下がる要因
市場価格が下がるのは、電力の需要が少なくなるときや供給量が多くなるときです。
需要が減るのは、春や秋などの過ごしやすい季節や、電力の使用が少ない夜間などが挙げられます。これらのタイミングでは、市場価格が下がる傾向があります。
また、発電所が安定して稼働し、十分な電力を供給できているときも価格は下がります。特に、風力や太陽光発電が多く発電できる晴れた日などは、市場価格が低くなることがあります。
以下のグラフは、2024年5月10日の東京エリアにおける市場価格の推移を示しています。
5月は気温が快適で、冷暖房の使用が少なくなります。一方で、晴れた日には太陽光発電などによって電力供給が増加します。その結果、日中の電気料金は0.01円~4円/kWhの範囲で推移していることが分かります。
◎市場価格が上がる要因
市場価格が上がる主な要因は、電力の需要が増えるときや供給量が少なくなるときです。
例えば、夏や冬の冷暖房需要が高まる時期や、突然の暑さや寒さによる急激な需要の増加が影響を与えます。
以下のグラフは、2024年8月8日の東京エリアにおける市場価格の推移を示しています。
2024年8月8日の東京都心(大手町)は最高気温が33.9度と非常に暑く、天気は曇りのち雨でした。
そのため、冷房の需要が高くなった一方で、太陽光発電は十分にできませんでした。
この影響で、日中の市場価格は10円~18円/kWhに上がりました。
その他にも、発電所の故障やメンテナンス、自然災害などで発電量が減少すると、供給が足りなくなり価格が上がります。
さらに、発電に使う化石燃料(天然ガスや石炭など)の価格が上がると、その影響で電気料金も高くなります。
過去に市場価格が高騰し、電気代が跳ね上がったことも
電力市場が安定しているときは、市場連動型プランを選ぶことで電気代を安く抑えられるというメリットがあります。
しかし、市場価格は外部要因によって急変するリスクを常に抱えています。
たとえば、2021年1月には寒波の影響や発電燃料の不足などが重なり、市場価格が急騰。
システムプライスの1か月の平均単価は63.07円となり、2020年の年度平均11.21円に比べて数倍の水準となりました。

この影響で、わずか1か月で3~4か月分の電気代を一度に支払うことになった企業も少なくありません。
さらに、2022~2023年にはロシア・ウクライナ情勢による資源価格の高騰を受け、電力市場の取引価格は1kWhあたり20.41円(2022年度)と非常に高い水準で推移しました。
このように、需給バランスの崩れや地政学リスクなどによって、市場価格が一気に跳ね上がる可能性があるのです。
変動リスクを抑えるなら「市場連動型ではないプラン」がおすすめ
市場連動型プランは、仕入れ価格が直接電気代に反映される仕組みのため、
一時的な高騰がそのまま経営コストの急増につながるリスクがあります。
そのため、安定的なコスト管理を重視する法人では、
近年「市場連動型ではないプラン(固定単価型・完全固定単価型)」を選ぶケースが増えています。
現在は、多くの新電力会社が燃料費調整額や市場価格の影響を受けにくいプランを提供しており、
自社の使用状況やリスク許容度に合わせて最適なプランを選ぶことが重要です。
市場連動型以外の電力プランの種類
市場連動型ではないプランにはどのような種類があるのでしょうか。電力会社が提供するプランは、大きく以下の3つに分けられます。
- 市場連動型
- 固定単価型
- 完全固定単価型
「市場連動型」から順に、変動リスクが高いプランとなっています。以下の図をご覧ください。

ここでは、市場連動型以外の「固定単価型」「完全固定単価型」について説明します。
固定単価型とは
固定単価型は、大手電力会社の標準メニュー(例:東京電力の「従量電灯」や「高圧電力」など)と同じ構成のプランです。
毎月の電気代は、以下の4項目で構成されます。
電気代 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再エネ賦課金
燃料価格の変動によって「燃料費調整額」が上下するため、原油やLNG価格の高騰時には電気代も上昇します。
一方で、市場価格の急変動による影響(JEPXのスポット価格高騰など)は受けにくいという特徴があります。
完全固定単価型とは
完全固定単価型は、燃料費調整額を一切含まない、完全に固定された料金プランです。
電力会社があらかじめ先物市場などで必要な電力を確保しておくことで、契約期間中は電気の単価が変動しない仕組みとなっています。
電気代 = 基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金
このため、燃料価格や市場価格の高騰があっても電気代は一定で、予算管理がしやすく、安定したコスト運用が可能です。
使用量が年間を通じて大きく変わらない企業や、長期的に価格の安定を重視する法人に特に向いています。
ただし、市場価格が下落した際には、その恩恵を受けられないというデメリットもあります。
市場連動型と非市場連動型(固定・完全固定)の比較
自社の状況に合わせて検討しやすいよう、市場連動型プランと固定単価・完全固定単価型の比較を表にまとめました。
| 項目 | 市場連動型 | 固定単価型 | 完全固定単価型 |
| 料金の決まり方 | 市場(JEPX)の電力取引価格に連動 | 燃料費調整額を含む固定単価 | 燃料費調整額なしの完全固定単価 |
| 構成要素 | 基本料金+電力量料金(市場価格連動)+再エネ賦課金 | 基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金 | 基本料金+電力量料金+再エネ賦課金 |
| 価格変動の要因 | 市場価格の変動(需給・天候・燃料価格など) | 燃料価格(原油・LNGなど)の変動 | なし(契約期間中は固定) |
| リスク | 変動リスクが非常に高い。高騰時に急増 | 燃料費次第でじわじわ上昇 | リスクが最も低く、安定的に推移 |
| コストの安定性 | × 不安定 | △ 比較的安定 | ◎ 非常に安定 |
| コストの安さ | ◎ 市場安定時は最安水準になることも | ○ 標準的 | △ 安定重視のため若干高め |
| おすすめの企業タイプ | 短期的コスト重視/市場を読める企業 | 通常の法人電力利用 | 予算重視・長期安定志向の企業(ホテル・工場など) |
上記の高圧・法人向けの固定単価型・完全固定単価型のプランはどの電力会社が提供しているのでしょうか。次の章をご覧ください。
【法人・高圧】市場連動型ではない電力会社30社の比較表
ここからは、法人・高圧電力向けの「固定単価型」「完全固定単価型」プランを提供する新電力会社をご紹介します。
まず、知っておきたい重要なポイントがあります。
「固定単価型」や「完全固定単価型」の電力プランは、実際の使用状況や電力会社が見積もりを出す条件によって、提示内容が大きく変わるケースが多いという点です。
そのため、電力会社名だけで判断せず、同じプランを提供する5社から一括で見積もりを取り、条件を比較したうえで最終判断することが大切です。
また、どの新電力会社においても、見積書を1社ずつ個別に依頼しただけでは、最も有利な条件を引き出せません。同じプランでの比較でなければ最適な単価は引き出せません。
一括比較によって、各社の競争環境をつくることで、より良い単価条件を提示してもらえる可能性が高まります。
それでは、市場連動型ではない電力会社を紹介していきます。
| 電力会社名 | 新電力情報 |
| エネット | NTTアノードエナジー、東京ガス、大阪ガスが出資する新電力会社です。 |
| ENEOS Power | ENEOSホールディングス株式会社の100%出資子会社として2024年4月に設立。発電・電力調達・小売(再エネ含む)・都市ガス・VPP事業を展開しています。 |
| エバーグリーン・ マーケティング |
2019年に東京電力エナジーパートナーとイーレックスグループとの間で、共同出資会社として設立された新電力です。 |
| 大阪瓦斯 | 関西を中心に都市ガス・電力供給を行う大手エネルギー企業。安定した電源調達力を持ち、法人向けに固定単価型の電力プランも展開。 |
| SBパワー | ソフトバンク株式会社と東京ガスが共同出資。通信とエネルギーを融合したサービスを展開し、法人向けの電力供給にも注力している。 |
| 東邦ガス | 中部地区を基盤とする大手ガス会社。電力小売り事業にも参入し、法人向けに安定供給・固定料金プランを提供している。 |
| 新出光 | 出光興産のグループ企業で、石油製品の販売やガソリンスタンド運営を中心に事業を展開。LNG・LPG販売や再エネ事業にも取り組む企業です。 |
| HTBエナジー | 2015年に設立された新電力会社で、元々はエイチ・アイ・エス(HIS)のグループ企業としてスタートしましたが、2022年に全株式が光通信の連結子会社である株式会社HBDに譲渡されています。 |
| ミツウロコ グリーンエネルギー |
石油製品・LPガス・固形燃料の販売などを行う企業グループの持株会社である株式会社ミツウロコグループホールディングスの完全子会社です。 |
| 丸紅新電力 | 2011年に丸紅の電力小売事業の支援を行う丸紅パワーサプライとして設立され、2015年に「丸紅新電力」に社名を変更しました。2016年の電力自由化に伴い、丸紅より電力事業を承継しています。 |
| 出光興産 | 1940年に設立された会社で、主な事業内容は石油製品・石油化学製品・電子材料の製造です。2003年から電力小売事業に参入しています。 |
| エナリス・ パワー・マーケティング |
株式会社エナリスの子会社です。株式会社エナリスの株主は、KDDI株式会社(auエネルギーホールディングス)と電源開発株式会社(J-POWER)となっています。 |
| U-Power | 株式会社U-NEXT HOLDINGSの完全子会社です。株式会社USEN-NEXT HOLDINGSの主力事業である店舗サービス事業で培ったグループシナジーを活かしてサービスを展開しています。 |
| グローバル エンジニアリング |
小売電力事業、ディマンドリスポンス、自家発電設備の設計・メンテ、省エネ監視システムなどを展開するエネルギーソリューション企業です。 |
| 北陸電力ビズ・ エナジーソリューション |
北陸電力グループの法人向けエネルギー会社。高圧・特別高圧を対象に、電力販売や省エネ支援など総合的なソリューションを提供。 |
| デジタルグリッド | 2017年に電力小売事業に参入している新電力であり、東京大学発のスタートアップ企業です。日本初の民間による自由な電力取引市場「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を2020年2月から運営しています。 |
| シン・エナジー | 1993年に洸陽電機エンジニアリングとして創業。省エネや再エネ開発、電力事業といったエネルギー関連事業を展開。2018年4月に現在のシン・エナジーに社名変更しています。 |
| 関電エネルギー ソリューション |
関西電力グループ。法人向けにエネルギー供給や空調・設備最適化などのトータルソリューションを提供。信頼性の高い電力供給が強み。 |
| しろくま電力 | 自社で開発から保守管理までを一気通貫で行える強みを活かし、発電事業領域で成長。元々の社名は株式会社afterFITでしたが、2024年3月に現社名に変更しています。 |
| アストマックス | 「金融事業」及び「総合エネルギー事業」に従事するグループの中核企業で、東京証券取引所スタンダード市場に上場している電力会社です。 |
| コスモエネルギー ソリューションズ |
親会社は コスモ石油株式会社。油・物流ネットワークを活かし、法人向け電力・環境ソリューション事業を展開。グリーン電力や蓄電池など脱炭素対応も手がける。 |
| オリックス | リースをはじめ、不動産、銀行、クレジット、事業投資、環境エネルギー投資、プロ野球球団など多くの事業を手掛けています。 |
| シナネン | エネルギー総合商社。ガス・電力・再生可能エネルギー事業を手掛け、法人向けの電力供給も行っています。 |
| 伊藤忠エネクス | 伊藤忠商事のグループ企業。石油・ガス・電力の販売を行い、家庭向け電力プランも提供しています。 |
| 鈴与電力 |
創業1801年の 鈴与グループ(物流・エネルギーなど約140社)傘下の電力小売会社。2018年設立、全国主要エリアで電力供給を展開。 |
| レジル | 分散型エネルギー事業、グリーンエネルギー事業、エネルギーDX事業を展開する企業。主にマンション向けの一括受電サービスや法人向けの再生可能エネルギー電力供給、エネルギー関連企業への業務支援を行っています。 |
| 九電ネクスト | 九州電力グループの販売会社。法人・個人向けに電気・ガスを提供し、地域密着型のサポートと安定供給体制を持つ。 |
| FPS | 日本GLPの100%子会社です。GLPは物流不動産の開発、管理、運用をおこない、不動産・インフラ・金融・テクノロジーを投資対象とする2009年にシンガポール政府投資公社によって設立された投資会社です。 |
| リミックスポイント | エネルギー関連事業・レジリエンス事業・メディカル事業を営む企業で、東京証券取引所スタンダード市場に上場している電力会社です。 |
| Q.ENESTでんき | 韓国 ハンファジャパン株式会社(ハンファグループ)を親株主とするグループの電力小売部門。再生可能エネルギー調達やCO₂削減ソリューション等も手掛けています。 |
固定単価型・完全固定単価型の比較ポイント3選
「固定単価型」や「完全固定単価型」は、市場連動リスクを避けたい法人様に人気のプランです。
しかし、同じ“固定”でも内容やリスクは会社によって大きく異なります。
ここでは、電気料金を正しく比較するために必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。
1. 基本料金・電力量単価だけで比較するのはNG
見積書の「基本料金」と「従量料金単価」だけを見て判断するのは危険です。
固定単価型プランでは、燃料費等調整額の算定方法や契約条件によって、実際の請求額が大きく変わることがあります。
まずは、比較の前に自社の使用状況を正確に整理しましょう。
- 契約プラン名、契約電力(kW)
- 月別の使用量、力率、負荷率
- 季時別契約の単価(季節・時間帯別)
これらをまとめておくことで、各社の見積もりを正確に比較できます。
また、「固定単価型」と一口に言っても、以下のように燃料費調整の仕組みが異なります。
- ミラー燃調型:大手電力会社と同じ燃料費調整額を反映
- 旧燃調型:市場調整分を除き、化石燃料価格のみ反映
- 独自燃調型:新電力独自の算定式を採用
この違いを理解していないと、「単価が安い」と思っても、結果的に高くつくケースもあります。
中には、基本料金や従量単価を安く見せて燃調を高めに設定している見積もりもあるため注意が必要です。
2. 同条件のプランを提供する5社以上で比較する
固定単価型プランは、燃料費調整の方式だけでなく、見積もりを出すタイミングや条件でも単価が変わります。
たとえば、同じ「ミラー燃調型」でも算定期間が異なると比較が難しくなります。
見積もりを取る際は、以下を意識しましょう。
- 比較するのは「同タイプのプラン」であること(ミラー型同士など)
- 直近1年分の電気料金明細を提出し、同じ期間で比較すること
- 見積もり時期によって単価が変わるため、複数社を同時期に依頼すること
また、「完全固定単価型」は電力先物市場での調達を前提としているため、切替希望時期や見積もり取得時期によっても大きく変動します。
さらに、同じ完全固定型でも、電力会社の調達・トレーディング方針が異なるため単価がバラつく点も重要です。
つまり、「どの会社でも同じ価格」ということはありません。必ず複数社で比較しましょう。
3. 契約後も安心できるよう、総合代理店経由で契約を
電力会社のプランは、年度の切り替えや市場状況の変化にあわせて改定されることが一般的です。
そのため、契約当初は有利だったプランが、翌年以降に条件悪化するケースも少なくありません。
しかし、多くの電力会社は「契約を継続してもらうこと」が目的であり、契約後に自社の利用状況を踏まえて積極的に見直し提案をしてくれるとは限りません。
結果として、「知らないうちに単価が上がっていた」「もっと安くできたのに機会を逃した」といった事態が起こりがちです。
このようなリスクを避けるためには、電力会社と独立した立場にある総合代理店を通じて契約することが非常に重要です。
当社「電力アドバイザーズ」では、常に市場価格の動向を注視しながら、企業様の使用状況に合わせて最適なプランを定期的にご提案しています。
契約後も継続的にフォローを行い、燃料費調整や新プランの情報などをタイムリーにお伝えすることで、無駄なコストを防ぎ、最適な契約を維持するサポートをしています。
つまり、総合代理店を通じて契約すれば、「契約して終わり」ではなく「契約後も常に最適化される」仕組みを手に入れることができるのです。
長期的に電気代の安定化を図りたい企業様ほど、この選び方が大きな安心につながります。





さらに、お客様へ電力会社から直接連絡が入ることはなく、煩わしいやり取りの手間も不要です。
