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2026年度から、東京電力のプランは大幅な改定を実施予定です。
それにより、電気代が大幅に上昇すると言われています。対策はお済みですか?
電気の使用状況によっては前年より10%以上の電気代増となるケースも出てきます。
この影響を受けて、現在多くの法人企業が電気代の見直しを進めており、弊社「電力アドバイザーズ」にも多数のお問い合わせをいただいております。
そこで本記事では、次のようなお悩みをお持ちの方に役立つ情報をまとめました。
東京電力の料金改定を正しく理解し、最適な電力会社を選ぶための参考情報として、ぜひご活用ください。
目次
東京電力の高圧向け新プラン「ベーシックプラン」は、2026年度から料金体系が見直されます。
基本料金は下がる一方で、電力量料金や各種調整単価は上がりやすい設計となっており、2025年度と比べて電気料金が上がる可能性があります。
先に、ポイントだけまとめると以下のとおりです。
契約電力や使用量によって影響額は異なりますが、全体としては値上げとなる企業も多いと考えられます。
ここからは、それぞれの変更点をわかりやすく解説します。
まずは現在の料金メニューを正しく把握することが大切です。
「思っていたより電気代が高かった…」と後悔しないためにも、事前にしっかり確認しておきましょう。
以下の高圧向け料金メニューは、2025年3月で新規申込の受付を終了し、2026年3月末で完全廃止となりました。
なお、特別高圧向けメニューについては、すでに2024年3月に新規申込受付を終了しています。上記の料金メニューご利用中の法人は、次に説明する標準メニューの内容を早めに理解しておきましょう。
東京電力の標準メニューは、主に以下の3つに分かれます。
これら3つのプランの大きな違いは、市場(卸電力取引所)から電力をどの程度調達するかという点にあります。
電力は主に「自社の発電(化石燃料など)」と「市場からの調達」によって構成されており、市場調達の割合が高いほど、料金が市場価格の影響を受けやすくなる仕組みです。
| プラン名 | 市場調整ゼロプラン | ベーシックプラン | 市場価格連動プラン |
| プランの特徴 | 燃料費の変動分を反映する料金プラン | 燃料費調整および市場価格調整を行う料金プラン | スポット市場価格の変動に連動する料金プラン |
| 市場調整の割合 | 0% | 約40~50% | 100% |
※東京電力エナジーパートナー「新標準メニューの概要」
どのプランも、基本料金・電力量料金・再エネ賦課金がかかる点は共通しています。
ただし、このうち電力量料金の算出方法はプランによって異なります。それぞれの違いは、以下のとおりです。

上の図のとおり、各プランで適用される料金は以下のようになります。
では、市場調整の割合が増えると何が変わるのでしょうか。
そのポイントは、価格変動リスクの大きさにあります。
詳しくは次の章でご説明します。
下の図のとおり、メニューごとに価格変動のリスクは異なります。
市場からの調達割合が多いほど、単価が上昇したり下落する可能性も高くなります。
※東京電力エナジーパートナー「小売電気事業の振り返りと今後の課題」
市場価格の変動リスクをどの程度受け入れられるかに応じて、最適なメニューを選びましょう。
2026年4月に変更される点はいくつかありますが、特に重要なのは次の4つです。
詳細を見ていきましょう。
2026年4月以降の標準メニューの単価は以下の内容に見直しされます。
高圧電力の関東エリアの単価のみ紹介します。
| 2025年度 | 2026年度 | 増減 | ||
| ベーシックプラン | 基本料金 | 3,030円00銭 | 2,530円00銭 | -500円/kW |
| 電力量料金 | 16円56銭 | 17円43銭 | +0.87円/kWh | |
| 市場調整ゼロプラン | 基本料金 | 3,220円00銭 | 2,720円00銭 | -500円/kW |
| 電力量料金 | 16円63銭 | 17円21銭 | +0.58円/kWh | |
| 市場価格連動プラン | 基本料金 | 1,500円00銭 | 1,500円00銭 | ±0円/kW |
| 電力量料金:朝時間 | 16円37銭 | 15円18銭 | -1.19円/kWh | |
| 電力量料金:昼時間 | ||||
| 電力量料金:晩時間 | ||||
| 電力量料金:夜時間 | 16円19銭 | 15円00銭 | -1.19円/kWh | |
ベーシックプランと市場調整ゼロプランでは、基本料金単価が1kWあたり500円/kW引き下げられる一方で、電力量料金単価はそれぞれ引き上げられています。
そのため、今回の見直しでは、電力使用量が多く負荷率の高い施設ほど、電力量料金の上昇影響を受けやすく、電気代が上がる可能性があります。
一方で、負荷率が低い施設は、基本料金の引き下げメリットを受けやすいため、使用状況によっては影響が限定的となるケースもあります。
ただし、今回の見直しで特に注意したいのは単価改定だけではありません。
次にする「燃料費調整額」と「市場価格調整額」が、実際の請求額を左右する大きなポイントになるため、確認しておきましょう。
関連記事:高圧電力の負荷率とは?計算式や電気代を下げる方法をわかりやすく解説
燃料費調整額とは、発電に必要な燃料価格の変動分を毎月の電気料金に反映する仕組みのことです。
2026年度の算定方法が見直されます。東京電力管内(関東)の高圧電力における見直し内容を、下表にまとめました。
| 2025年度 | 2026年度 | 差 | ||
| 基準燃料価格 | 49,800円/kl | 35,600円/kl | -14,200円/kl | |
| 基準燃料単価 | ベーシックプラン | 19銭0厘/kWh | 14銭4厘/kWh | -4銭96厘/kWh |
| 市場調整ゼロプラン | 23銭1厘/kWh | 26銭3厘/kWh | +3銭2厘/kWh | |
| 換算係数 | α(原油) | 0.0030 | 0.1173 | 増 |
| β(LNG) | 0.3489 | 0.0643 | 減 | |
| γ(石炭) | 0.7318 | 1.1607 | 増 | |
結論として、今回の見直しでは、燃料価格そのものが上がらなくても、2025年度と同じ市況であれば、2026年度の方が電気料金が高くなる可能性があります。
つまり今回の改定のポイントは、「燃料価格が上がったから値上げ」ではなく、同じ燃料価格でも料金が上がりやすい計算方法へ変更されたことです。
その主な理由は「基準燃料価格」が49,800円/klから35,600円/klへ引き下げられたことにあります。基準値が下がることで、同じ燃料価格でも基準超過額が大きくなり、燃料費調整額が上振れしやすくなります。
また、ベーシックプランでは「基準燃料単価」が下がった一方で、燃料価格を算定するための「換算係数」も見直されています。具体的には、LNG(天然ガス)の比率が下がり、原油・石炭の比率が上がっています。
実際に、2025年7月の貿易統計価格をもとに、2025年度と2026年度方式で電力アドバイザーズが試算したところ、2026年度のほうが約0.9円/kWh高くなる結果となりました。
これは、年間100万kWhを使用する法人であれば、年間約90万円の負担増(100万kWh×0.9円)に相当します。
市場価格調整額とは、市場価格の変動分を反映させる仕組みのことです。
東京電力管内(関東)の高圧電力における見直し内容を、下表にまとめました。
| 2025年度 | 2026年度 | 差 | |||
| 基準市場価格 | 12円64銭 | 11円60銭 | -1円4銭 | ||
| 基準市場単価 | ベーシックプラン | 7~9月 | 29銭 | 49銭2厘 | +20銭2厘 |
| 12~2月 | 28銭3厘 | 47銭4厘 | +19銭1厘 | ||
| 上記以外 | 22銭9厘 | 39銭7厘 | +16銭8厘 | ||
| 市場価格連動プラン | 1円14銭2厘 | 1円14銭2厘 | ±0円 | ||
市場価格の変動分を反映する「市場価格調整額」も、2025年度より請求額が上がりやすい仕組みに変更されています。
理由は、追加請求が発生する基準となる「基準市場価格」が1円4銭引き下げられたためです。これにより、2025年度と同じ市場価格で推移した場合でも、2026年度のほうが追加請求が発生しやすくなります。
さらに、請求額の増え方を左右する「基準市場単価」も大きく引き上げられています。
つまり、今回の見直しでは、請求が始まるラインが下がり、請求額の増え方も大きくなりました。そのため、昨年と同じ市場価格水準だったとしても、高くなる可能性があります。
4月に入って以降、関東エリア・中部エリアを中心に、市場価格が大きく上昇しています。
以下のグラフは、関東エリアの市場価格(月平均単価)の推移です。

2025年4月の平均単価は11.45円/kWhでしたが、2026年4月は22日時点の平均で20.62円/kWhとなっており、前年同月比で約1.8倍の水準で推移しています。
米国・イランを発端とする中東情勢悪化の影響も一因と考えられますが、東京エリアの市場価格上昇は、それだけが理由ではありません。
JERAをはじめとする発電事業者の燃料調達見直しや、東京電力の電源調達構成の変化により、市場価格の影響を受けやすい環境になっている点にも注意が必要です。
2026年4月以降、東京電力では電源調達状況の変化を踏まえ、燃料費調整額の反映ルールも見直します。
これまでは一定期間の平均燃料価格をもとに調整額が決まっていましたが、2026年度からは各月1カ月間の貿易統計価格をもとに、毎月の燃料費調整単価が算定されます。
※東京電力電力エナジーパートナー「1)燃料費調整の算定諸元の見直し内容」
これにより、燃料価格の下落局面では値下がりが早く反映される一方で、原油・LNG・石炭価格が上昇した場合は、値上がりもこれまでより早く反映されやすくなります。
また、実際の請求への反映時期は、検針開始日によって異なります。
つまり今回の見直しでは、燃料費調整額そのものが上がりやすくなっただけでなく、市況変動が料金へ届くスピードも早くなった点に注意が必要です。
電気料金の内訳に含まれる「再エネ賦課金」についても、2026年度は単価の引き上げが決定しています。
2025年度は3.98円/kWhでしたが、2026年度は4.18円/kWhとなり、0.20円/kWhの上昇です。
そのため、年間100万kWhを使用する企業であれば、電気の使い方が変わらなくても年間20万円の負担増となります。
100万kWh × 0.20円 = 20万円
再エネ賦課金は東京電力独自の値上げではなく全国一律で適用される制度ですが、電気料金の総額を押し上げる要因であることに変わりはありません。
今回の見直しでは、基本料金や調整額だけでなく、こうした制度単価の上昇も含めて確認しておくことが重要です。
2026年の東京電力の料金プラン改定は、単なる企業判断ではなく、電力業界全体が抱える構造的なコスト上昇が背景にあります。
まず大きな要因は、原燃料価格の高騰です。
火力発電に使われるLNG(液化天然ガス)や石炭の価格が、国際情勢や円安の影響で上昇しており、その負担が電気料金にも反映されるようになっています。

加えて、電力の取引価格を決める卸電力市場(JEPX)の価格高止まりも続いています。
燃料高や発電コストの上昇に加え、電力供給の余裕が限られていることから、市場価格が安定せず、結果的に企業の電気代に影響を与えています。
こうした状況は、東京電力だけの問題ではありません。関西電力や中部電力など、全国の大手電力会社でも同様に料金改定や値上げが進んでおり、「どこを選んでも同じ」という時代ではなくなっています。
これまで多くの企業が、「大手だから安心」「長年契約してきたから変える必要はない」と考えてきました。しかし現在は、契約先を見直すだけで年間数十万円〜数百万円のコスト差が生まれるケースも珍しくありません。実際に、新電力が提供するプランを活用して電気代を削減する企業が年々増えています。
背景には、電力自由化によって「選べる時代」になったことがあります。
これまで電気料金は、言われるままに支払う固定費でしたが、今は違います。
新電力各社は、企業ごとの使用量・契約形態・稼働時間帯などを分析し、より柔軟で合理的な料金プランを設計しています。自社の実態に合わせて見直すことで、無理なく電気代を最適化することが可能になりました。
その結果、現在では多くの企業が大手電力会社から新電力へ切り替えを進めています。
いまや電気は、ただ「使う」ものではなく、どの会社から・どんな条件で「調達するか」を選ぶ時代です。電力コストをどう管理するかは、経営における重要な戦略のひとつとなっています。
東京電力の料金値上げが進むなかで、多くの企業が注目しているのが「新電力」への切り替えです。
とはいえ、「新電力って聞いたことはあるけれど、少し不安」「停電しやすくなるのでは?」という声も少なくありません。ここでは、よくある疑問を解消しながら、安心して検討できるポイントを整理します。
まず押さえておきたいのは、新電力に切り替えても変わるのは「電気を売る小売会社」の部分だけということです。
電気を家庭や工場まで届ける「送配電」を担っているのは、これまでと同じ東京電力パワーグリッド。送電線や設備を通じて電気が届けられる仕組みは一切変わりません。

したがって、停電リスクが高まることも、電気が不安定になることもありません。
また切り替え時も、電気は途切れることなく供給され続けるため、事業活動への影響はゼロです。実際に、多くの企業が業務を止めることなくスムーズに切り替えを完了しています。
2021~2022年頃には、新電力会社の倒産が相次ぎました。
これは、電力市場価格が急騰した際に、その高騰分を電力会社が負担する料金設計になっていたことが大きな要因です。
つまり、電気を売る価格よりも仕入れ(調達)コストが高くなり、赤字を抱えた企業が撤退せざるを得なかったのです。
ただし、当時の影響は新電力だけではありません。東京電力をはじめとする大手電力会社も同様に、燃料価格高騰や市場価格の上昇により経営負担を強いられていました。
現在はこうした教訓を踏まえ、経済産業省による制度改定と料金プランの見直しが進み、リスクを抑えた設計が一般的になっています。
また、もし万が一契約している新電力会社が事業を継続できなくなった場合でも、電気の供給が止まることはありません。
経産省の定める「最終保障供給制度」により、一定期間は東京電力パワーグリッドが暫定的に供給を引き継ぐ仕組みがあります。その間に他の電力会社へスムーズに切り替えることが可能です。
さらに、弊社のように企業の電力会社の切り替えをサポートするサービスを利用すれば、市場動向を踏まえながら安定した電力会社への再契約をスムーズに進めることができます。
このように、制度的にも実務的にも“万が一”への備えが整っているため、新電力の倒産リスクを過度に心配する必要はありません。
一時期、「新電力に切り替えたら東京電力に戻れない」という声が聞かれました。これは2022年前後の電力市場高騰時に、一部の大手電力会社が再契約の受付を停止したことに端を発しています。
当時は、発電コストの急騰で新規契約を受け入れる余裕がなく、供給量の確保を優先した結果として一時的に新電力からの戻りを制限していました。
しかし、その中には「新電力から切り替えた企業は受け付けない」と明言するケースもあり、この対応が独占禁止法に抵触するおそれがあるとして、経済産業省および公正取引委員会から是正が求められました。具体的には、以下のような観点が問題視されました。
◎排他的取引(独占禁止法第19条・不公正な取引方法)
自社の市場支配力を利用し、他社(新電力)との取引実績を理由に顧客の再契約を拒否することは、競争を不当に制限する行為にあたるおそれがあります。
◎取引拒絶(独占禁止法第3条・第19条)
公共性の高いエネルギー供給において、合理的な理由なく取引を拒否することは、取引機会の不当な制限と見なされる可能性があります。
◎優越的地位の濫用(独占禁止法第2条第9項5号)
大手電力が地域における優越的な地位を利用して、「新電力を選んだ顧客は戻れない」とするのは、取引先(=需要家)に対して不当な不利益を与える行為と解釈される可能性があります。
これらはいずれも、市場競争を阻害し、電力自由化の趣旨に反するものとして問題視されました。
経済産業省はこの対応について「独占禁止法上問題となるおそれがある」と明言し、大手電力各社に対して契約受付方針の是正と、透明性ある運用を求めています。
現在ではこうした対応は改善され、新電力から大手電力への再契約もスムーズに行える環境が整っています。
新電力は、国が正式に認めた制度のもとで運営されており、「電気の品質」「供給の安定性」「再契約の自由」のいずれも、安心して利用できる環境が整っています。
だからこそ、まずは「比較」から始めることが重要です。自社の使用量や契約形態に合ったプランを知ることで、ムリなく電気代を削減し、経営コストを最適化できます。
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