電気料金の力率割引をわかりやすく解説|計算式・改善方法・注意点まで網羅
「電気代が高くて、下げる方法を探している」
「力率を改善すると基本料金が下がると聞いたけど、本当?」
「そもそも力率って何を見ればいいのか分からない」
電気料金の見直しを検討する中で、このような疑問を持つ企業担当者の方は少なくありません。
特に高圧・特別高圧の電気契約では、電気料金の中に「力率」という要素が含まれており、内容を正しく理解していないと、知らないうちに割増料金を支払っているケースもあります。
この記事では、電気料金における力率の仕組み、割引・割増のルール、計算方法、改善策、注意点までを、高圧電力を利用する法人向けにわかりやすく解説します。
内容を正しく理解せずに対策を進めた結果、思ったほど効果が出なかったということがないよう、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は高圧・特別高圧の法人契約を前提とした内容です。低圧(従量電灯・低圧動力)では力率の考え方や扱いが異なる場合があります。
目次
まずは電気料金と力率の関係を理解しよう
まず、力率が電気料金のどこに関係しているのかを整理します。
高圧電力の電気料金は、以下の要素で構成されています。

| 【高圧電力の電気料金の構成】
電気料金=基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー賦課金 |
このうち、力率が影響するのは「基本料金」です。
高圧電力の基本料金は、次の計算式で算出されます。
| 【高圧電力の基本料金の計算式】
基本料金=基本料金単価×契約電力×力率 |
この計算式から分かるとおり、力率が高くなるほど基本料金は下がり、逆に力率が低いと基本料金が高くなります。
なお、力率がすでに100%の場合、これ以上の割引は受けられません。
電気料金明細に記載されている力率が100%未満の場合のみ、改善の余地があります。
次の章では力率の基本情報について解説します。
関連記事:高圧電力の基本料金仕組みと計算方法|削減方法
関連記事:契約電力の決め方|高圧(500kW未満・以上)の基本料金を下げる方法まとめ
関連記事:燃料費調整額とは|計算方法と今後の見通しをわかりやすく解説
関連記事:再エネ賦課金とは?仕組みや安くする方法をわかりやすく解説
力率とは何か
力率とは、発電所から送られてきた電力のうち、実際に有効に使われた電力の割合を示す指標です。
発電所から送られてくる電力は、すべてが実際の仕事に使われているわけではありません。
電力には以下の3つの考え方があります。
- 有効電力:機器で実際に消費され、仕事をする電力
- 無効電力:仕事はしないが、電気を使うために必要となる電力
- 皮相電力:有効電力と無効電力を合計した、供給される全体の電力
力率は、この関係を次の式で表します。計算式は以下となります。
| 力率 = 有効電力(W) / 皮相電力(VA)
※皮相電力:有効電力+無効電力 |
つまり、同じ量の仕事をしていても、無効電力が多いほど力率は下がり、電力会社側はより大きな設備で電気を供給しなければならなくなります。
力率と効率の違い
力率と混同されやすい言葉に「効率」がありますが、意味は異なります。
| 力率 | 電源から供給された電力のうち、有効に使われた電力の割合 |
| 効率 | 電気を使う機器内で、電力を無駄なく使用することができたかの割合 |
力率が高くても、古い機器や管理状態が悪ければ効率は悪くなることがあります。
逆に、効率の良い機器を使っていても、無効電力が多ければ力率は低下します。
力率割引・力率割増しの仕組み
高圧・特別高圧の電気契約では、力率85%が基準とされています。
この85%を基準に、以下のルールで基本料金が調整されます。
| 力率 | 基本料金の割引・割増率 |
| 85%を上回る1%につき | 1%割引 |
| 85%を下回る1%につき | 1%割増 |
では、なぜ85%が基準なのでしょうか。
これは、送配電設備の設計上、力率85%以上であれば無効電力によるロスが許容範囲とされているためです。
それを下回ると、電力会社側の設備負担が大きくなるため、ペナルティ的に割増が設定されています。
力率改善によるコスト削減効果の具体例
実際に、力率の違いでどの程度基本料金が変わるのかを見てみましょう。
あらためてになりますが、基本料金の計算式は以下です。
【高圧電力の基本料金の計算式】
基本料金=基本料金単価×契約電力×力率
東京電力エナジーパートナーのベーシックプラン(契約電力500kW未満)を例にします。
基本料金単価:2,530円
契約電力:300kW
基準力率:85%
この場合、基準となる基本料金は以下です。
2,530円 × 300kW = 759,000円/月
ここから、力率による割引・割増が適用されます。
月の基本料金がどのくらい変わるかを見ていきましょう。
| 力率 | 基本料金×割引・割増係数 | 基本料金/月 | 削減・増加額 |
| 100% | 759,000円×0.85(15%割引) | 645,150円 | ▲113,850円 |
| 95% | 759,000円×0.90(10%割引) | 683,100円 | ▲75,900円 |
| 90% | 759,000円×0.95(5%割引) | 721,050円 | ▲37,950円 |
| 基準:85% | 759,000円×1 | 759,000円 | – |
| 80% | 759,000円×1.05(5%割増) | 796,950円 | 37,950円 |
力率を85%から95%に改善するだけで、月に75,900円、年間で約91万円の削減になります。
一方、力率80%の場合、年間で約45万円もの割増料金を支払っている計算になります。
力率が悪くなる主な原因
力率が低下する背景には、以下のような要因があります。
・古いモーターやエレベーターを使用している
・空調や冷凍機が部分負荷運転になっている
・設備を増設したが、進相コンデンサ容量を見直していない
・昼間の稼働が少なく、無効電力の割合が高い
特に設備更新やレイアウト変更を行った後は、力率が悪化しているケースが多く見られます。
力率改善には進相コンデンサが有効
力率改善の代表的な方法が、進相コンデンサの設置です。
力率が悪化する主な原因は、遅れ無効電力が発生していることです。
進相コンデンサは、進みの無効電力を発生させ、これを相殺することで力率を改善します。
例えば、力率80%の電動機(100kW)を使用している場合、実際には125kVAの電力が供給されています。
進相コンデンサを設置することで、この余分な25kVA分の無効電力を抑えることができます。
進相コンデンサ導入時の注意点
進相コンデンサは有効な手段ですが、注意点もあります。
・入れすぎると進み力率となり、逆に問題が発生する
・設備ごとに適正な容量が異なる
・老朽化したコンデンサは効果が出にくい
・計量方法や電力会社のルールによって効果が限定的な場合がある
導入や調整は、電気主任技術者など専門家に相談することが重要です。
力率はどこで確認できる?
力率は、電気料金の検針票や請求明細に記載されているケースが一般的です。
「力率」や「力率係数」といった項目を確認してください。
明細に記載がない場合は、電力会社に問い合わせることで確認できます。
力率が100%なら何もしなくていい?
力率が100%の場合、これ以上の力率割引は受けられません。
ただし、以下の見直し余地は残っています。
- 基本料金単価が適正か
- 契約電力が実態に合っているか
- 電力量料金が割高になっていないか
力率改善だけでなく、契約全体の見直しが重要です。
無料で電気代の基本料金を見直す方法|電力会社の切り替え
設備投資を伴う力率改善に対し、費用をかけずに見直せる方法があります。
それが、電力会社の切り替えです。
基本料金単価を下げるだけで、固定費は確実に下がる
高圧電力の基本料金は、次の計算式で決まります。
基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力(kW)× 力率
この式から分かるとおり、基本料金単価そのものを下げれば、毎月の基本料金は確実に下がります。
たとえば、東京電力の高圧向けベーシックプランでは、基本料金単価は1kWあたり2,530円で設定されています。
仮に、契約電力が200kW、力率が100%の場合、基本料金だけで毎月43万円を超える固定費が発生します。
この契約条件のままでも、電力会社を切り替えて基本料金単価が下がれば、契約電力に手を加えずに電気代を削減することが可能です。
実際には、単価が数百円/kW変わるだけで、年間では数十万円から数百万円規模の差になるケースもあります。
従量料金も含めて見直せるのが、新電力の特徴
電力会社を切り替えるメリットは、基本料金単価だけではありません。
新電力の中には、法人向けに特化した料金設計を行っている会社もあり、電力量料金(従量料金)の単価まで含めて見直せる場合があります。
ピーク対策や省エネによって使用量を抑えても、単価自体が高ければ効果は限定的です。
その点、契約条件に合った電力会社を選ぶことで、「使用量 × 単価」の両面から電気代を最適化できる可能性があります。
また、設備投資による削減は、効果が出るまでに時間がかかることもありますが、電力会社の切り替えは、契約開始月から効果が表れやすい点も特徴です。
切り替えは無料だが、選び方を誤ると逆効果になることも
電力会社の切り替えは、多くの場合、工事不要で切り替え費用もかかりません。
そのため、「まずは電力会社を変えてみよう」と判断しやすい一方で、料金の安さだけで選んでしまうと、後からリスクが顕在化することもあります。
たとえば、
- 価格変動リスクの高いプランを選んでしまう
- 契約期間や解約条件を十分に確認していない
- 自社の使用実態に合わない料金設計を選んでしまう
といったケースでは、当初は安く見えても、結果的に不利になることがあります。
電力アドバイザーズでは、契約電力や電気の使い方を整理したうえで、複数の電力会社・料金プランを比較し、条件に合った選択肢を検討します。
単価だけでなく、契約条件やリスクも含めて判断することで、安心して電気代の見直しを進めることが可能です。
設備投資による対策を検討する前に、まずは無料で見直せる電力会社の切り替えから着手する。
それも、電気代削減を進めるうえでの、現実的で無理のない選択肢の一つと言えるでしょう。
関連記事:新電力とは?仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説



さらに、お客様へ電力会社から直接連絡が入ることはなく、煩わしいやり取りの手間も不要です。
