再エネ賦課金とは?仕組みや安くする方法をわかりやすく解説

「電気料金明細にある再エネ賦課金とは何?」
「なぜ毎年上がったり下がったりするの?」
「企業でも負担を抑える方法はある?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

電気料金の明細を見ると、基本料金や従量料金とは別に「再エネ賦課金」という項目が記載されています。
しかし、何のために支払っているのか、なぜ金額が変わるのかまで理解している方は多くありません。

この記事では、再エネ賦課金の基本的な仕組みから、単価の推移、今後の見通し、そして法人・高圧契約の企業が実務上取れる対策までを、できるだけ分かりやすく解説します。

まず結論|再エネ賦課金のポイントまとめ

  • 再エネ賦課金は、再生可能エネルギーを普及させるために全国一律で徴収される費用
  • 電気を使うすべての個人・法人が支払う必要があり、電力会社を切り替えても原則なくならない
  • 単価は毎年見直され、今後もしばらくは続く見込み
  • ただし、企業の場合は減免制度や契約設計によって負担を抑えられる可能性がある

「再エネ賦課金そのものをゼロにすること」はできませんが、「影響を小さくすること」は可能です。

再エネ賦課金とは

再エネ賦課金(さいえねふかきん)とは、正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といい、再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取る際にかかる費用を、電気利用者全体で負担する仕組みです。

再エネ賦課金は、電気料金に上乗せされる形で、原則としてすべての電気利用者(家庭・企業・工場)が支払っています。

再生可能エネルギーとFIT制度の関係

再生可能エネルギーとは、資源が枯渇しない、どこにでも存在する、CO2を増加させない、といった特徴がある、以下に示した自然界に常に存在するエネルギーのことをいいます。

◎再生可能エネルギーの代表的な種類

  • 太陽光発電
  • 水力発電
  • 風力発電
  • バイオマス発電
  • 地熱発電

再生可能エネルギーは、環境にやさしいエネルギーとして注目されており、地球温暖化防止や化石燃料の代替エネルギーとして期待されています。

日本では、再生可能エネルギーの普及を目的として、2012年からFIT制度(固定価格買取制度)が始まりました。

FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電された電気を、国が定めた価格・期間で電力会社が買い取ることを約束する制度です。
この買取費用の一部を、電気利用者全体で負担する仕組みが再エネ賦課金です。

※「FIT制度」とは、再生可能エネルギーからつくられた電気を、電力会社が「一定価格」で「一定期間」買い取ることを国が約束する制度です。

(出典:資源エネルギー庁『固定価格買取制度とは』)

しかしながら、現在の電気料金や税金でまかなえない部分が大きいことから、電気を利用するすべての個人・法人に対して、再エネ賦課金を電気料金に載せて徴収しているのです。

関連記事:高圧電力の基本料金仕組みと計算方法|削減方法
関連記事:燃料費調整額とは|計算方法と今後の見通しをわかりやすく解説

再エネ賦課金が導入された背景

再エネ賦課金が始まった背景には、日本が2050年のカーボンニュートラル実現を目指していることがあります。

日本はエネルギー自給率が低く、発電の多くを輸入燃料に頼っています。
そのため、CO2削減だけでなく、エネルギー安全保障の観点からも再生可能エネルギーの導入が進められてきました。

この流れの中で、再生可能エネルギーを安定的に普及させるための財源として、再エネ賦課金が設けられています。

豆知識

再エネの導入が進むのは、カーボンニュートラルの実現だけが目的ではありません。
日本が課題として抱える、電源構成やエネルギー自給率の低さにも起因します。

現在の日本の発電は、火力発電と原子力に依存しています。

特に、火力発電は全体の7割近くを占め、そこで使用する化石燃料のうち9割を輸入に頼っています。
石油や天然ガスなどの資源に乏しい日本はエネルギー自給率が低く、2021年度の自給率は13.3%となっています。

出典:資源エネルギー庁(2023―日本が抱えているエネルギー問題)

現状の問題を打破するために注目されたのが、CO2排出量を削減し、自然の力で大量の電力を生み出せる太陽光発電といった「再生可能エネルギー」です。

再エネ賦課金の単価と支払い方法

再エネ賦課金は、使用した電力量(kWh)に応じて課金されます。
単価は毎年、経済産業大臣によって見直されます。

再エネ賦課金の過去の単価推移

再エネ賦課金は、経済産業省の経済産業大臣によって毎年単価が見直されています。

自然エネルギー財団が公開している「再エネ賦課金の推移」は下表のとおりです。

対象期間 単価
2012年8月~2013年3月 0.22円/kWh
2013年4月~2014年4月 0.35円/kWh
2014年5月~2015年4月 0.75円/kWh
2015年5月~2016年4月 1.58円/kWh
2016年5月~2017年4月 2.25円/kWh
2017年5月~2018年4月 2.64円/kWh
2018年5月~2019年4月 2.90円/kWh
2019年5月~2020年4月 2.95円/kWh
2020年5月~2021年4月 2.98円/kWh
2021年5月~2022年4月 3.36円/kWh
2022年5月~2023年4月 3.45円/kWh
2023年5月~2024年4月 1.40円/kWh
2024年5月~2025年4月 3.49円/kWh
2025年5月~2026年4月 3.98円/kWh

参照:自然エネルギー財団(再エネ賦課金の推移)

2025年度の単価は3.98円/kWhです。この単価に電気使用量をかけたものが再エネ賦課金の料金になります。

例えば、月に300kWh使用したとなると「3.49 × 300 = 1,047円」が再エネ賦課金の負担額となります。

法人・工場ではどれくらい影響があるのか

再エネ賦課金は電力量に比例するため、使用量が多い企業ほど負担は大きくなります。

例として、
・月5万kWh使用する事業所:月約20万円
・年間100万kWh使用する工場:年間約398万円

電気料金全体の中では見落とされがちですが、長期的には無視できないコストです。

なぜ2023年度の再エネ賦課金は安かったのか

再エネ賦課金の単価は2022年度は3.45円/kWhでしたが、2023年度は1.40円/kWhに下がり、2012年にFIT制度がはじまって以来、初の下落となりました。

なぜ2023年度の再エネ賦課金は安かったのでしょうか。

その理由は「2022年度に燃料費が過去最高値を記録したから」です。
具体的に解説するために、まずは再エネ賦課金の計算方法を説明します。

◎再エネ賦課金の計算方法

再エネ賦課金単価=(買取費用-回避可能費用+広域運用推進機構事務費)÷販売電力量

上記計算式のうち、買取費用とは「電力会社がFIT制度により買い取りした再エネ電力の費用」のことをいいます。

また、回避可能費用とは「電力会社がFIT制度による再エネ電力の買い取りにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができる費用」のことです。なお、内訳は公表されていませんが、JEPX(日本卸電力取引所)で買い取られた金額とほぼ同じになっています。

そして販売電力量とは、「該当年度内に販売が予想される電力量」のことです。

上記計算式をわかりやすく説明すると、「再エネ電力の買い取り費用(買取費用)」から「再エネ電力の売上(回避可能費用)」を差し引いて、「販売した電力量」で割ることにより、その年度の再エネ賦課金の単価が決まるのです。

2023年度の単価が安かった理由は、「2022年度に燃料費が過去最高値を記録したから」とお伝えしましたが、前年である2022年度の数値と比較してみると一目瞭然です。

年度 買取費用等 回避可能費用等 販売電力量
2022年度 4兆2,033億円 1兆4,609億円 7,943億kWh
2023年度 4兆7,477億円( 3兆6,353億円( 7,946億kWh(

しかし、2023年にはJEPXの市場価格が落ち着いたことから、売上(回避可能費用)が減少し、2024年度の再エネ賦課金は値上げとなっています。

関連記事:JEPXとは?仕組みと今後の見通しをわかりやすく解説
関連記事:電力自由化とは|仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説

再エネ賦課金は今後いつまで続くのか

再エネ賦課金をいつまで支払う必要があるのでしょうか。
2024年時点でいうと、再エネ賦課金は少なくとも2044年までは続く見込みです。

その理由は、FIT制度(固定価格買取制度)が2024年度にも追加で実施され、今後最低でも2044年までの20年間は続く予定だからです。

一方で、再エネ賦課金の単価のピークは2031年頃になる可能性があります。

その理由は、2032年はFIT制度20年目であり、買取単価の高い案件から順次、固定価格での買取が終了していくためです。それに合わせて、再エネ賦課金の単価が緩やかに下がる可能性も考えられるでしょう。

再エネ賦課金を安くする方法・企業の対策4選

企業が実施できる、電気料金の追加負担となる再エネ賦課金を安くする方法を4つご紹介します。

1. 賦課金減免制度を活用する

以下記載の認定基準を満たし、経済産業大臣の認定を受けた事業者は、再エネ賦課金の支払い減免を受けることができます。

  • 製造業の場合は「エネルギー消費原単位(売上高千円当たりの電気の使用量)」が平均の8倍以上ある
  • 非製造業の場合は​​「エネルギー消費原単位」が平均14倍を超える(下限値5.6kWh/千円)
  • 申請する事業の電気使用量が、年間100万kWhを超える
  • 申請事業の電気使用量が申請事業所の電気使用量の過半数を占めている
  • エネルギー消費原単位を減らすなど、改善に取り組んでいるかどうか

参考:資源エネルギー庁「賦課金減免制度について」

なお、エネルギー消費原単位の平均値は毎年更新されており、下図のように、資源エネルギー庁が出す「エネルギー白書」に掲載されている。

(出典:資源エネルギー庁「令和5年度 エネルギーに関する年次報告」)

再エネ賦課金の減免率は、基準の有無や事業種別によって2〜8割に変化します。

どの企業でも導入可能な制度ではありませんが、上記条件に当てはまり、再エネ賦課金を安くしたい・減らしたい企業は確認してみてはいかがでしょうか。

2. 太陽光発電PPAモデルを導入する

PPAモデルとは「Power Purchase Agreement」の略で、電力販売契約といいます。

PPA事業者が、事業者の敷地や屋根といったスペースに太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気を事業者が買い取って使用する仕組みのことです。

なお、PPAモデルには、事業者の敷地内に太陽光発電設備を設置する「オンサイトPPA」と、敷地外に設置して送配電線で電気を送る「オフサイトPPA」の2種類があります。

そのうち、オンサイトPPAは、再エネ賦課金がかからず、また、電気代の単価も安くなる可能性が高いです。

しかも、導入費用・メンテナンス維持費用を無料で導入できることから、電気料金の見直しを検討している企業にとっては、検討する価値はあるでしょう。

ただし、日射量や日照時間が十分でなければ、太陽光発電設備を設置しても採算が合わないため、PPA事業者から断られる可能性もあります。

3. 節電に取り組む

再エネ賦課金は、電気使用量に比例して課金されます。
そのため、節電により使用量そのものを減らすことによって、再エネ賦課金を安くすることができます。

ちなみに、オフィスビルか工場かによって、節電ポイントは異なります。

例えば、オフィスビルだと空調設備・照明器具・OA機器だけで、全体の電力消費量の8割以上を占めています。一方で、工場は生産設備が8割です。

それぞれの使用状況を把握し、対策を講じることが重要です。

4. 電力プランを切り替える

再エネ賦課金を下げる根本的な解決策ではありませんが、電力会社を切り替えることによって電気代そのものを安くできる可能性があります。

高圧電力の基本料金は、次の計算式で決まります。

基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力(kW)× 力率

この式から分かるとおり、基本料金単価そのものを下げれば、毎月の基本料金は確実に下がります

たとえば、東京電力の高圧向けベーシックプランでは、基本料金単価は1kWあたり2,530円で設定されています。
仮に、契約電力が200kW、力率が100%の場合、基本料金だけで毎月43万円を超える固定費が発生します。

この契約条件のままでも、電力会社を切り替えて基本料金単価が下がれば、契約電力に手を加えずに電気代を削減することが可能です。
実際には、単価が数百円/kW変わるだけで、年間では数十万円から数百万円規模の差になるケースもあります。

従量料金も含めて見直せるのが、新電力の特徴

電力会社を切り替えるメリットは、基本料金単価だけではありません。
新電力の中には、法人向けに特化した料金設計を行っている会社もあり、電力量料金(従量料金)の単価まで含めて見直せる場合があります。

契約条件に合った電力会社を選ぶことで、「使用量 × 単価」の両面から電気代を最適化できる可能性があります。

また、設備投資による削減は、効果が出るまでに時間がかかることもありますが、電力会社の切り替えは、契約開始月から効果が表れやすい点も特徴です。

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