高圧電力の基本料金の仕組みと計算方法|削減方法をわかりやすく解説

「高圧電力の基本料金って、なぜこんなに高いの?」
「契約電力や力率って、結局どこを見ればいいの?」
「基本料金を下げたいが、何から手を付ければいいかわからない」

このような悩みを抱える企業担当者の方は少なくありません。

近年の電気料金高騰により、多くの企業が電気代の見直しに取り組んでいますが、高圧電力の料金体系は複雑で、明細を見ても内容を正しく理解できていないケースが多く見受けられます。

本記事では、高圧電力の基本料金の仕組みと計算方法をわかりやすく整理したうえで、

  • 自社の基本料金が適正かどうかの判断方法
  • 今日から確認すべきポイント
  • 費用をかけずに下げられる可能性のある方法

まで解説します。

高圧電力の「基本料金」とは?

基本料金とは、電気の使用量に関係なく、毎月固定で発生する料金のことです。

高圧電力では、電気を全く使わなかった月であっても、契約している限り基本料金は発生します。これは、電力会社が設備投資や送配電網の維持、安定供給のためのコストを回収する目的で設定しているためです。

なお、基本料金は全国一律ではなく、

  • 契約電力(kW)
  • 基本料金単価
  • 力率

によって金額が大きく変わります。

高圧電力の電気料金の全体構成

高圧電力の電気料金は、以下の要素で構成されています。

【高圧電力の電気料金の構成】

電気料金=基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー賦課金

このうち、毎月の支払い額に大きく影響し、かつ削減余地が大きいのが「基本料金」です。

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高圧電力の基本料金の計算式

高圧電力の基本料金は、次の計算式で決まります。

基本料金=基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引(割増)

それぞれの要素を順番に見ていきましょう。

基本料金単価とは?

基本料金単価とは、契約電力1kWあたりに設定されている料金のことです。

この単価は、電力会社や契約メニューによって大きく異なります。同じ契約電力でも、契約先が違うだけで、基本料金が数十万円単位で変わることも珍しくありません。

また、一部の契約メニューでは、電気使用量が0kWhの場合に基本料金が半額になるケースもあります。

契約電力とは?(実量制・協議制)

契約電力とは、電力会社との契約上、使用できる最大電力(kW)のことです。

高圧電力では、契約電力の決め方が次の2つに分かれます。

  • 高圧小口(50~500kW):実量制
  • 高圧大口(500kW以上)・特別高圧:協議制

◎実量制とは

契約電力500kW未満の「高圧小口」の場合、契約電力の決定方法は「実量制」となります。

実量制では、直近12カ月のうち、

  • 直近1カ月の最大需要電力
  • その前11カ月の最大需要電力

の中で、最も大きい値が契約電力として採用されます。

一度記録されたピーク値は、その後1年間の契約電力に影響します。そのため、一時的な設備稼働や同時使用が原因で、基本料金が上がり続けているケースも少なくありません。

例えば、直近12ヶ月のなかで最も最大需要電力が高い月が2月だった場合、2月の数値が向こう1年にわたっての契約電力(370kW)になります。

「契約当初よりも基本料金が上がっているかも…」と思ったときは、まずは契約電力が増えていないかをチェックしましょう。
反対に、省エネなどをおこなって直近12カ月の最大使用量を抑えた場合、契約電力は下がります。

ではどのように「最大需要電力」が決まるのでしょうか、その仕組みをご説明します。

最大需要電力(デマンド)の考え方

まず、最大需要電力とは、30分ごとの平均使用電力のうち、月間で最も大きい値(ピーク値)のことをいいます。

1日24時間を30分ごとに区切ると48コマ、1カ月で約1,400コマ以上になります。その中で最も電力使用量が多かった30分が、その月の最大需要電力となります。

重要なのは、「月間の使用量を減らしても、30分のピークが下がらなければ契約電力は下がらない」という点です。

関連記事:契約電力とは?決め方と下げる方法を高圧向けにわかりやすく解説

◎協議制とは

協議制は、契約電力が500kW以上の場合に適用されます。

直近の使用実績や負荷設備の内容、同業種の負荷率などを踏まえ、年1回の契約更新時に電力会社と協議して契約電力を決定します。

なお、協議制では契約電力を超過すると、割増金(違約金)が発生する点に注意が必要です。

◎力率とは?基本料金にどう影響する?

力率(読み方:りきりつ)とは、送られてきた電力のうち、実際に有効に使われた電力の割合を示す指標です。

力率が低いほど、無効電力が多く、電力会社にとって効率が悪くなります。
そのため、多くの電力会社では力率に応じた割引・割増制度を設けています。

一般的に、基準力率は85%です。

  • 85%を超えると、1%ごとに基本料金が1%割引
  • 85%を下回ると、1%ごとに基本料金が1%割増

力率が100%であれば、15%の割引が適用されます。

関連記事:電気料金の力率割引をわかりやすく解説|計算式や改善方法もご紹介

基本料金はどこを見れば確認できる?

まず確認すべきは、電気料金の請求書(検針票)です。

  • 契約電力(kW)
  • 基本料金単価
  • 力率

は、請求書またはWeb明細に記載されています。

最大需要電力(30分デマンド値)は、別紙や電力会社のWebサービスで確認するケースが多いため、見当たらない場合は電力会社に問い合わせるのがおすすめです。

東京電力の高圧契約の基本料金の計算例

高圧電力の基本料金の構成を理解したところで、つづいては東京電力のベーシックプランの基本料金を例に計算方法をお伝えします。

  • 基本料金単価:2,530円
  • 契約電力:300kW
  • 力率:100%(15%割引)

契約電力が300kW、力率が100%(割引15%)の場合の計算式は以下になります。

基本料金:2,530円00銭 × 契約電力:300kW × 力率割引:0.85

月の基本料金は645,150円になります。

高圧電力の基本料金を安くする方法3選

最後に、基本料金を下げるための3つの方法をご紹介します。

1. 力率を改善する

力率が100%ではない場合、改善することにより力率割引を受けることが可能です。
なお、力率が85%の場合、力率が1%上がるごとに基本料金が1%割引されます。

85%を下回っている場合は、割増し請求されているため、設備の買い替えやコンデンサといった力率改善機器の導入を検討してみてもよいでしょう。

2. ピーク値を抑えて契約電力を下げる

契約電力は、直近12カ月の使用電力量のうち、もっとも高い月の最大需要電力から最も大きいピーク値を算出して決定します。
そのため、ピーク値を下げることが契約電力削減につながります。

ピーク値を下げる、ピークカットとピークシフトの2つの方法についてご説明します。

ピークカット 電力の使用量が最も多い時間帯に、照明や空調・生産設備といった機器による電力使用量を削減することにより、ピーク値を抑える施策。
ピークシフト それぞれの機器の稼働時間帯を分散させることにより、ピーク値を減らす施策。
ピークカットと似ていますが、ピークシフトは使用する電力量を移動させて、全ての時間帯の電力使用量を均一化するイメージのため、全体の電力使用量に変化はありません。

ピーク値を抑えるためには、デマンドコントロールを導入して使用状況を管理したり、日頃から節電を意識することが重要です。

3. 基本料金単価を下げる

基本料金を下げる方法として、ピークカットやピークシフト、デマンドコントロールの活用を解説してきました。
これらはいずれも有効な手段ですが、設備投資が必要になったり、運用ルールの変更が求められたりと、すぐに実行できないケースも少なくありません。

その点、電力会社の切り替えは、設備を購入することなく、初期費用もかけずに電気代を見直せる方法です。
特に高圧契約では、契約電力を変えなくても「基本料金単価」や「従量料金単価」を見直せる可能性があります。

◎基本料金単価を下げるだけで、固定費は確実に下がる

高圧電力の基本料金は、次の計算式で決まります。

基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力(kW)× 力率

この式から分かるとおり、ピーク対策によって契約電力を下げなくても、基本料金単価そのものを下げれば、毎月の基本料金は確実に下がります

たとえば、東京電力の高圧向けベーシックプランでは、基本料金単価は1kWあたり2,530円で設定されています。
仮に、契約電力が200kW、力率が100%の場合、基本料金だけで毎月43万円を超える固定費が発生します。

この契約条件のままでも、電力会社を切り替えて基本料金単価が下がれば、契約電力に手を加えずに電気代を削減することが可能です。
実際には、単価が数百円/kW変わるだけで、年間では数十万円から数百万円規模の差になるケースもあります。

◎従量料金も含めて見直せるのが、新電力の特徴

電力会社を切り替えるメリットは、基本料金単価だけではありません。
新電力の中には、法人向けに特化した料金設計を行っている会社もあり、電力量料金(従量料金)の単価まで含めて見直せる場合があります。

ピーク対策や省エネによって使用量を抑えても、単価自体が高ければ効果は限定的です。
その点、契約条件に合った電力会社を選ぶことで、「使用量 × 単価」の両面から電気代を最適化できる可能性があります。

また、設備投資による削減は、効果が出るまでに時間がかかることもありますが、電力会社の切り替えは、契約開始月から効果が表れやすい点も特徴です。

関連記事:電力自由化とは|仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
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