【高圧・法人】電力会社・料金プランの選び方9選|注意点や電気代を安くする方法まとめ
電気代の見直しを検討していませんか?
2025年11月現在、全国的な電気料金の高騰を受けて、より安い電力会社への切り替えを検討する法人企業が急増しています。
しかし、国内には788社もの小売電気事業者(新電力)が存在しており、「どの会社を選べば良いのか」「どんな契約プランが最適なのか」と悩む企業も少なくありません。
本記事では、新電力へ乗り換える際のメリットとデメリット、そして法人が電力会社を選ぶうえで押さえるべき9つのポイントをわかりやすく解説します。さらに、2026年度に人気が高まりつつある固定単価型・完全固定単価型プランについても詳しく紹介します。
目次
新電力とは
まずはじめに「新電力」に関する基礎基本から説明します。
新電力とは、電力市場の自由化以降に新規参入した小売電気事業者(電力会社)のことをいいます。
かつて電力業界は、北海道から沖縄まで各地域にある大手電力会社10社が独占していました。
※大手電力会社とは、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社のこと
そのため、各地域に電力会社は1社しかなく、需要家はその地域にある電力会社としか契約することができませんでした。
例えば、会社の所在地が東京であれば東京電力、大阪であれば関西電力との契約しかできなかったのです。
しかし、電気事業法の改正により2000年に電力の小売自由化が始まり、2016年の全面自由化によって、民間企業が新規参入できるようになりました。
ところが、新電力は大手電力と違い、ほとんどの企業が発電設備を所有していません。
そこで発電事業者と小売電気事業者が安定的に電力の取引ができる「JEPX(日本卸電力取引所)」が開設されたのです。
その結果、下図の通り、JEPX(市場)から仕入れた電気を需要家に供給できるようになりました。

ここで、新電力への切り替えに関するよくある質問とアンサーをご紹介します。
質問1. 新電力に変えると電気の質が悪くなる?停電の回数が増える?
電気はどの電力会社から購入しても“同じ品質”のものが送られてくるため、新電力に切り替えてもこれまで通り安心してご利用いただけます。
エアコンの効きが悪くなったり、照明の明るさが変わったりといった心配は一切ありません。
また、電気を届ける送電線の管理はこれまで通り、地域の一般送配電事業者(例:東京電力パワーグリッド・関西電力送配電など)が行います。
そのため、停電や供給の安定性も大手電力会社とまったく同じです。
質問2. 新電力に切り替えるとき、電気が止まる?
契約の切り替え時でも、停電になったり電気が止まったりすることはありません。
電気を届けるための「送配電網(電線や変電設備など)」は、どの電力会社を選んでも共通で使われています。
この設備は地域の一般送配電事業者(例:東京電力パワーグリッド、関西電力送配電など)が管理しているため、新電力に切り替えても電気が止まることはありません。
切り替え手続きはあくまで「契約上の変更」であり、実際に電気が流れる経路や仕組みはこれまでと同じです。
また、切り替えは電力会社同士でデータをやり取りして行われるため、電線やメーターを交換したり、停電工事をしたりする必要もありません。
質問3. 新電力が倒産・撤退したら電気は止まる?
新電力がもし倒産したり事業から撤退した場合でも、電気が突然止まることはありません。
その際は、契約している電力会社から必ず事前に案内が届きます。
さらに、国の制度として「最終保障供給」という仕組みがあり、万が一のときは地域の一般送配電事業者(例:東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など)が自動的に電力を供給します。
つまり、どんな場合でも企業や施設への電気の供給が途切れる心配はありません。
新電力に切り替えるメリット
高圧・特別高圧の法人が新電力に切り替えることで多くのメリットがあります。
1. 電気料金を安くできる可能性がある
電力自由化が始まる前は、大手電力会社が提供する高圧電力プランしか選べず、企業にはほとんど選択肢がありませんでした。
しかし自由化によって新電力が参入したことで、電気料金の価格競争が進み、より安価なプランや多様な料金メニューが登場しました。
法人向けでは、契約電力・使用量・稼働時間帯などに合わせて設計できるオーダーメイド型のプランが主流となり、大手電力と同じ「固定単価型」に加えて、「完全固定単価型」「市場連動型」「ハイブリッド型」など、企業のニーズに応じた柔軟な選択が可能になっています。
特に、電力使用量の多い製造業・ホテル・医療法人などでは、稼働時間帯や季節変動に合わせた最適設計により、大きなコスト削減が期待できます。
実際に、当社電力アドバイザーズが電力会社の見直しを支援した企業様の多くは、5〜30%の電気代削減を実現しています。
2. 自社のニーズに合った電力プランが選べる
かつては料金体系がほぼ一律で、どの企業も同じような契約内容でしたが、電力自由化によって各新電力会社が独自のプランを打ち出し、コストだけでなく「環境価値」や「契約条件の柔軟性」など、多様な選択肢が広がっています。
料金の安さだけでなく、近年では環境配慮型のプランも充実しており、SDGsの流れを受けて再生可能エネルギーを活用した「再エネ付加型」プランや、CO₂排出実質ゼロを実現する「非化石証書付きプラン」などが選べます。
これらはRE100や脱炭素経営を掲げる企業の取り組みにも対応しており、上場企業や大手法人を中心に導入が加速しています。
また、夜間や休日の使用量が多い業種向けの時間帯別料金プランや、複数拠点をまとめて管理できるプランなど、事業形態や使用パターンに合わせた柔軟な設計も可能になっています。
このように、新電力の登場によって「コスト削減」と「環境価値の両立」を実現できる時代になっています。
3. 複数エリアの契約を一本化できる
自由化以前は、全国にオフィスや工場、店舗を持つ企業の場合、それぞれの地域ごとに大手電力会社と個別に契約を結ぶ必要があり、契約管理や請求処理が煩雑でした。
しかし、新電力の中には全国エリアに対応している会社も多く、切り替えることで複数拠点の電気契約を一括管理することが可能です。
これにより、電気料金の支払先や請求書の発行元を一本化でき、経理・管理部門の業務負担を大幅に軽減できます。
また、全拠点の電気使用量やコストをまとめて把握できるため、エネルギーコストの見える化や削減施策の立案にも役立ちます。さらに、契約更新やプラン見直しのタイミングを統一できることで、全社的なコスト最適化と管理効率の向上を実現できます。
新電力に変更するデメリット・注意点
新電力には多くのメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。導入を検討する際は、これらのリスクを理解した上で比較検討することが大切です。
1. 電気代が高くなる可能性がある
新電力に切り替えたからといって、必ずしも電気代が安くなるとは限りません。
特に2020年以降は、燃料価格の高騰によって電力の仕入れコストが上昇し、一部の新電力では料金単価を1.5倍以上に引き上げた例もあります。
市場連動型など、燃料費や卸電力市場の価格変動を直接反映するプランでは、相場が高騰した際に請求額が大きく跳ね上がるリスクがあります。
ただし、すべての新電力が同じではなく、価格変動を抑える「完全固定単価型」や「上限付き市場連動型」など、安定的に利用できるプランも存在します。こうしたプランを選ぶことで、燃料費高騰時のリスクを抑えることが可能です。
2. プランによっては解約違約金が発生する
新電力の中には、契約期間を定めている会社もあり、その期間内に解約すると違約金が発生する場合があります。
多くの場合、違約金は電気料金の1~3か月分程度で設定されています。
契約期間を柔軟に見直したい企業や、短期間での切り替えを検討している場合は、契約書や約款で「解約違約金の有無」や「契約期間の条件」を事前に確認することが重要です。
3. 新電力会社の倒産や撤退の可能性がある
市場環境の変化や燃料高騰の影響により、新電力が経営難に陥るケースもあります。
帝国データバンクの調査によると、2024年3月時点で倒産・撤退した新電力は累計119社にのぼり、2021年4月時点で登録されていた706社のうち約16.9%を占めています。
特に2021~2022年は、市場価格急騰に対してリスクを十分に織り込めていない料金設計の会社が多く、経営破綻が相次ぎました。
ただし現在では、価格変動リスクを抑えたプラン設計や、電源調達の多様化などにより、事業基盤の安定した新電力が増えています。倒産や撤退のニュースが目立った時期と比べると、全体の信頼性は大きく改善しているといえるでしょう。
法人が電力会社の選び方で注意すべきポイント

高圧の電力プランの選び方では以下に記載の9つのポイントを押さえておきましょう。
法人の電力会社の選び方①:自社の電気の使用状況を理解する
新電力から電気の提案を受ける前に、自社の使用状況を整理しておくことが大切です。
まず、直近12か月分の電気料金明細や検針票を準備し、契約電力(kW)・月別の電気使用量(kWh)・プラン名・契約期間などの基本情報を把握しておきましょう。法人割引の適用があれば、その条件についても確認しましょう。
また、稼働時間帯や曜日、電力使用のピーク時期など、自社の使用パターンを整理しておくことも重要です。複数拠点がある場合は、各拠点の契約内容を一覧化しておくと比較がスムーズになります。
こうした情報を把握しておくことで、見積りの精度が高まり、複数の新電力を同じ条件で正確に比較できます。さらに、契約内容を理解しておくことで、条件交渉を有利に進められたり、市場連動型プランなどでのリスクをより正確に把握したりすることも可能です。
電気の見直しを成功させるためには、まず「自社の現状を正しく知ること」から始めることが重要です。
法人の電力会社の選び方②:新電力会社の経営基盤
法人が電力会社を選ぶ際に、重視すべきポイントは「経営基盤の信頼性」です。
資源エネルギー庁の公表によると、2025年10月31日時点で登録されている小売電気事業者(新電力)は全国で788社にのぼります。その中には、大手電力グループや総合商社などの大企業が出資する安定した電力会社もあれば、少人数体制で運営されている中小規模の事業者も存在します。
新電力の中には経営体力が十分でない企業もあり、実際に燃料価格の高騰や市場価格の変動をきっかけに倒産・撤退した事例も見られます。仮に契約先の新電力が経営破綻しても、「最終保障供給」という制度により電気の供給自体は止まりませんが、新たな電力会社を探して契約し直す必要があり、その分の手間や時間が発生します。
したがって、電力会社を選ぶ際は、運営母体の企業規模や資本構成、財務基盤、業界での実績やシェアなどを事前に確認することが大切です。特に、上場企業や大手グループ会社が関与している新電力は、経営の安定性や長期的なサポート体制に優れています。
当社「電力アドバイザーズ」では、こうした経営基盤の観点から信頼性を重視し、商社系・石油系・通信系・大手電力グループ系など、安心してご紹介できる新電力30社を厳選して一括比較を行っています。電力会社の選定でお悩みの法人様は、どうぞお気軽にご相談ください。
関連記事:新電力 高圧・特別高圧ランキングと法人が失敗しない選び方6選
法人の電力会社の選び方③:環境価値の有無
法人が電力会社を選ぶ際の3つ目のポイントは、「環境価値の有無」です。ここでいう環境価値とは、CO₂を排出しないなど、環境に配慮した電力に付与される価値のことを指します。太陽光や風力といった再生可能エネルギーから生み出された電気には、こうした環境価値が含まれています。
企業が環境価値のある電力プランに切り替えることで、使用する電気を“脱炭素化”することができます。これは単に環境にやさしいというだけでなく、企業ブランドの向上やESG評価の強化、取引先や投資家からの信頼獲得にもつながります。特に上場企業やグローバル企業では、RE100やScope1〜3といった脱炭素の国際的取り組みに対応するため、非化石証書付きの電力プランを導入するケースが増えています。
また、再エネプランを導入することで、化石燃料価格の高騰によるリスクを軽減できる点も見逃せません。再エネ電源は燃料コストに左右されにくく、長期的に安定した価格で電力を調達できる可能性があります。
ただし注意点として、環境価値を付与した「非化石証書付きプラン」は、一般的なプランよりも電気料金が高くなる傾向があります。非化石証書をオプションで追加できるプランもあれば、最初から環境価値が含まれているプランしか扱っていない電力会社もあります。そのため、コスト削減を重視する場合は、見積もりを取る前に「環境価値を付与できるか」「料金にどの程度上乗せされるか」を確認しておくことが重要です。
このように、電力会社を選ぶ際は料金だけでなく、環境対応力や将来の企業価値向上につながる“環境価値”にも目を向けることが、これからの時代の選び方といえます。
関連記事:非化石証書とは|仕組みや企業が導入するメリット・注意点を解説
法人の電力会社の選び方④:電気の供給エリア
新電力の中には、供給できる地域を限定している会社も多く存在するため、契約前に対応エリアを必ず確認する必要があります。
特に、複数の県や地域に支店・工場・店舗などを展開している企業は、全国対応または複数エリアに対応できる新電力を選ぶのが理想的です。すべての拠点を1社でまとめて契約することで、請求書の管理や契約更新の手間を大幅に削減でき、経理や管理部門の負担を軽くすることができます。
一方で、すべてのエリアで同じ新電力を使うことが必ずしも最適とは限りません。中には、特定地域の発電所や電力卸市場に強みを持ち、特定エリア限定でより安価なプランを提供できる新電力もあります。そのため、管理の効率化を優先するか、コスト削減を最優先するかによって選び方が変わります。
全国的に展開している企業であれば、まずは全国対応の新電力で見積もりを取り、エリアごとの料金差を比較した上で、一部地域のみ別の新電力を採用する方法も有効です。
いずれの場合も、複数社から見積もりを取得し、自社の拠点構成や運用方針に最も適した契約形態を比較検討することが重要です。電力会社を選ぶ前に、「コスト」「管理効率」「契約期間」など、何を優先するかという選定基準を明確にしておくと、最適な判断がしやすくなります。
法人の電力会社の選び方⑤:契約期間と解約違約金
法人が電力会社を選ぶ際の5つ目のポイントは、「契約期間と解約違約金」です。
電力会社ごとに契約期間や違約金の条件が異なるため、契約前に必ず確認しておくことが重要です。
特に、燃料費や市場価格の変動によって電気代が上昇している近年では、「いつでもより安いプランに切り替えられるようにしたい」と考える企業も増えています。そのため、新電力を選ぶ際は、契約期間の長さや違約金の有無を事前に把握し、自社の経営方針に合った柔軟な契約を選ぶことがポイントです。
固定単価型プランの場合は、基本的に1年契約がおすすめです。かつては2年以上の長期契約によって単価を抑えられるケースもありましたが、2022〜2023年の電気代高騰以降、長期契約は電力会社にとってリスクと捉えられる傾向が強まりました。そのため、現在は短期契約の方が有利な単価で提案されることもあります。また、固定単価型は中途解約時の違約金が比較的高めに設定されている場合がありますが、そもそも価格変動の影響を受けにくいため、契約期間中に解約するメリットは少ないと言えます。
一方、市場連動型プランの場合も1年契約を基本としつつ、可能であれば違約金が発生しない、またはごく少額で済むプランを選ぶことが望ましいです。市場価格が急騰した際には契約の見直しが必要になる可能性があるため、柔軟に切り替えられる契約条件が安心です。中には、契約期間1か月単位で解約できる新電力もあり、リスクを最小限に抑えられます。
いずれのプランでも、契約期間・違約金の金額・更新条件・オプション費用などを事前に確認し、「固定型で安定を取るのか」「市場連動で柔軟性を取るのか」という方針を明確にしておくことが大切です。こうした契約条件を正しく理解しておくことで、電気代高騰や市場変動に左右されず、後悔のない電力会社選びができます。
法人の電力会社の選び方⑥:支払い方法
法人が電力会社を選ぶ際の6つ目のポイントは、「支払い方法」です。電力会社によって選べる支払い手段や請求方法が異なるため、契約前に必ず確認しておくことが大切です。
一般的な支払い方法は、口座振替・クレジットカード決済・銀行振込の3種類です。ただし、新電力の中にはコストや事務効率の観点から「口座振替のみ対応」としている会社もあります。特に複数拠点で契約する場合、支払い方法の統一ができないと管理が煩雑になるため注意が必要です。
クレジットカード決済は、一見すると支払時期を1か月程度後ろにずらせるメリットがありますが、その分クレジット決済手数料が発生します。多くの新電力ではこの手数料を電気料金単価に上乗せしているため、実質的には電気代が高くなる傾向があります。そのため、支払いサイクルを延ばす目的でクレジット払いを選ぶと、電気代削減の効果が薄れてしまう可能性があります。
また、請求書の発行方法も電力会社によって異なります。紙の請求書を郵送してくれる会社もあれば、マイページ上でダウンロード・閲覧するWEB明細形式のみの会社もあります。経理処理のフローや社内承認ルールに合わせて、紙での発行が必要かどうかも確認しておくと安心です。
このように、支払い方法や請求書の形式は単なる事務手続きにとどまらず、経理の効率化やコスト管理にも直結する要素です。契約前には「支払い手段」「支払いサイクル」「請求書の形式」をしっかり確認し、自社の運用体制に合った電力会社を選びましょう。
法人の電力会社の選び方⑦:キャンペーンの有無
法人が電力会社を選ぶ際の7つ目のポイントは、「キャンペーンの有無」です。新電力の中には、契約時期や申込経路によってお得なキャンペーンを実施している会社も多く存在します。
たとえば、基本料金の数%を一定期間割引するキャンペーンや、初年度の契約期間中に限って解約違約金を免除する特典などがあります。これらは契約タイミングによっては大きなコスト削減につながることもあるため、申し込み前に各社のキャンペーン情報を確認しておくと良いでしょう。
また注意したいのは、代理店経由でのみ適用される特別キャンペーンがある点です。電力会社と直接契約する場合には提示されない優遇条件が、代理店ルートを通すことで適用されるケースもあります。特に法人契約では、代理店が持つ独自の交渉力や販売枠を活用することで、通常よりも有利な条件で契約できる場合があります。
当社「電力アドバイザーズ」でも、当社限定の特別キャンペーンを複数保有しており、これを活用することで初年度の電気料金を大幅に削減できるケースがあります。たとえば、固定単価型や市場連動型プランで「契約電力(kW)×1,000円」の割引が適用されるプランなどが代表的です。
こうしたキャンペーンは期間限定で実施されることが多く、契約のタイミングによって削減効果が変わるため、電力会社を比較検討する際はキャンペーン内容も含めて総合的に判断することが重要です。詳しい条件や適用可否については、ぜひお気軽にご相談ください。
法人の電力会社の選び方⑧:5社以上に見積もりを取り、正しく比較する
2025年11月現在、電力会社は780社以上が登録されており、各社の料金プランは非常に多様で分かりづらくなっています。
通常、新電力会社に見積もりを依頼すると、他社の見積取得状況を必ず確認されます。
もし2〜3社程度しか見積を取っていない場合、割引が適用されない“定価”で提示されることも少なくありません。そのため、電気代削減を目的に切り替えを検討している企業にとって、想定したほどの効果が得られない可能性もあります。
最適な条件を引き出すためには、同じプラン内容で5社以上から見積もりを取得し、電力会社同士が競合を意識した提案をしてくるようにすることがポイントです。なお、プラン内容が異なる見積もりを比較しても競争原理が働かず意味がないため、必ず条件をそろえて比較しましょう。
※例えば、固定単価型を希望であれば、同じく固定単価型のプランで5社分を比較する
また、手間を省きたい場合は電力会社の一括見積もり比較サービスを利用するのがおすすめです。
自社に合ったプランを探したい場合や、同じプランを複数社で比較したい場合に最適です。このサービスでは、企業と電力会社の間に立って見積り取得や条件整理を代行してくれるため、複数社との個別対応や資料提出の手間を大幅に削減できます。
たとえば弊社「電力アドバイザーズ」では、企業様から電気料金の明細をお預かりし、使用状況の分析からスタートします。そのうえで、経営基盤が安定し、かつ単価競争力の高い電力会社を厳選して30社に見積依頼を行います。各社から届くバラバラな書式の見積書も、条件をそろえて1枚にまとめて比較できる形でご提示します。
新電力の選定に時間をかけず、自社に最も合ったプランを見つけたい企業様には、こうした一括見積もりサービスの活用がおすすめです。
【実績の一部をご紹介】
法人の電力会社の選び方⑨:自社に合った電力プランを選定する
最も重要なポイントとなるのが、新電力の料金プランです。
現在、電力会社で提供されている主な料金プランは以下の4種類です。
| プラン名 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 燃料調整型プラン | 従量料金の単価は24時間固定。ただし、火力燃料(石炭・天然ガス・原油など)の価格変動により電気代が変動する。 | ・24時間単価が一定でわかりやすい。 ・急激な価格変動が起きにくい。 |
燃料価格の影響を受けるため、電気料金が不透明になりやすい。 |
| 市場連動型プラン | EPX(日本卸電力取引所)から調達した電気を供給。30分ごとに市場価格に応じて単価が変動する。 | 電力の使用状況や需給によって電気代を大幅に安くできる可能性がある。 | 市場価格の影響を直接受けるため、電力需要が高い時期に料金が高騰するリスクがある。 |
| 完全固定型プラン | 燃料費調整額がなく、市場価格の変動を受けない。電力量料金は「固定単価×電気使用量」のみで計算。 | ・年間の電気代を見積もりやすい。 ・価格変動リスクがない。 |
市場価格が低下しても料金は変わらないため、安い電気を活用しにくい。 |
| ハイブリッドプラン | 市場連動型と完全固定型を組み合わせたプラン。夏季・冬季の需要が高い時期は完全固定型、春・秋の電力需要が小さい時期は市場連動型を適用。 | 価格変動リスクを抑えつつ、市場価格が安い時期のメリットを享受できる。 | 料金体系が複雑になりやすい。 |
このように、それぞれのプランにはメリット・デメリットがあるため、使用状況に応じた最適なプランを選択することが重要です。
2026年の電力会社の乗り換えは
固定単価型・完全固定単価型が人気か
ここまで、高圧・特別高圧における電力会社の選び方について解説してきました。そのうえで、2026年に向けて法人が電力会社を見直す際に特に増えている傾向が、「固定単価型」および「完全固定単価型」への乗り換えです。
2025年までは、市場価格の動きに応じて電気料金が変動する「市場連動型」と、一定の単価で安定して利用できる「固定単価型」がおおよそ半々の割合で選ばれていました。
しかし、近年の燃料価格高騰や電力市場価格の不安定化により、「市場価格の上下に影響を受けるリスクを避けたい」という企業が増えています。削減見込み額がやや小さくなっても、電気代の安定を優先する企業が固定単価型・完全固定単価型を選ぶ流れが強まっているのが実情です。
完全固定単価型のプランでは、電力会社が必要な電力量をあらかじめ先物市場や発電事業者から調達するため、契約期間中の単価が一切変わりません。燃料費調整額や市場連動による加減算がないため、毎月の請求額が安定し、経営計画や予算管理がしやすくなるのが特徴です。

最近では市場価格が落ち着いてきており、使用状況によっては市場連動型と同程度の削減効果を見込めるケースも増えています。そのうえで、高騰リスクを負わずに済む安心感が、完全固定単価型を選ぶ最大の理由となっています。
特に東京エリアでは、2026年度から高圧電力の料金プランが大幅に刷新され、「ベーシックプラン」をはじめとした3プランに集約される予定です。使用状況によっては電気代が約10%上昇するケースもあり、多くの企業が契約見直しを進めています。その際、「リスクを取って削減を狙うよりも、安定的なコスト管理を優先する」という判断から、固定単価型・完全固定単価型を選定する法人が急増しています。
この傾向は、全国的にも同様です。
2024年以降、燃料費の変動や電力需給の逼迫によって、短期間で電気代が大きく上下するケースが増えました。これを受けて、企業の多くが「予測可能な経費管理」「キャッシュフローの安定」「契約期間中の価格固定による安心感」を重視するようになっています。
固定単価型・完全固定単価型のプランは、こうした法人ニーズに応える形で再び注目を集めており、2026年の電力会社乗り換えでは主流になる可能性が高いと言えるでしょう。
なお、電力会社を切り替えるときの手続きについては「法人の電力会社乗り換え完全ガイド|高圧契約の見直し手順と注意点を徹底解説」をご確認ください。



さらに、お客様へ電力会社から直接連絡が入ることはなく、煩わしいやり取りの手間も不要です。
