【2025】法人の電力会社乗り換え完全ガイド|高圧契約の見直し手順と注意点を徹底解説
電力自由化から10年あまり。今や多くの企業が「電力会社の乗り換え」によって、年間で数十万〜数百万円のコスト削減を実現しています。
一方で、「手続きが複雑そう」「どこを選べばいいのかわからない」と感じ、興味はあっても一歩を踏み出せない企業も少なくありません。
しかし、法人の電力契約は正しく比較・見直しを行えば、確実に経営コストを圧縮できる分野のひとつです。
本記事では、法人が電力会社を乗り換える際に知っておくべきポイントや注意点、失敗しないためのコツを、電力のプロがわかりやすく解説します。
目次
電力会社を乗り換える背景とメリット
かつては、企業が契約できる電力会社は地域の大手電力会社(東京電力・関西電力など)に限られていました。
しかし、2016年の電力全面自由化によって、法人契約でも高圧・低圧を問わず、全国のさまざまな「新電力会社」と契約できるようになりました。
これにより、企業は自社の使用状況やニーズに合わせて、より有利な条件の電力会社を自由に選べる時代になったのです。
自社に合ったプランでコスト削減が可能に
自由化によって競争が活発化し、各社が独自の料金プランを打ち出すようになりました。
代表的なものに、以下のようなタイプがあります。
- 固定単価型プラン:大手電力会社と同様の安定した料金設定
- 市場連動型プラン:電力市場価格に応じて単価が変動
- 完全固定単価型プラン:燃料費の変動を受けない安心設計
これらの中から、自社の電力使用量や時間帯に合ったプランを選ぶことで、電気代の見直しや大幅なコスト削減を実現できるようになりました。
契約・会計を一元管理できる
全国に複数の拠点を持つ企業では、地域ごとに異なる電力会社と契約しているケースも多く、契約条件や請求書の管理が複雑になりがちです。
その点、同一の電力会社で全拠点をまとめて契約すれば、
- 契約内容・単価の統一
- 請求書の集約
- 担当窓口の一本化
といった効果により、事務処理や経理業務の負担を大幅に軽減することが可能です。
脱炭素経営の推進にもつながる
近年は「脱炭素経営」や「RE100」への対応が企業価値を左右する時代です。
電力会社の中には、再生可能エネルギー由来の電気を供給するプランを提供しているところも増えています。
こうしたプランに切り替えることで、CO₂排出量を削減でき、自社の環境方針やCSR(企業の社会的責任)の実践にもつながります。
さらに、省エネ診断や設備改善など、脱炭素支援サービスを併せて提供する電力会社もあり、エネルギーコストを抑えながら、持続可能な経営を実現することができます。
法人契約で電力会社の乗り換えを検討すべきタイミング
契約更新月がもっとも一般的な乗り換えタイミング
東京電力・関西電力など大手電力会社から高圧契約を見直す際、最も多いのは「契約の更新月」に合わせて乗り換えるケースです。
契約期間は1年で設定されていることが多いですが、2年・3年といった長期契約も存在します。
そのため、契約満了のタイミングで他社への切り替えを検討する法人が多く見られます。
この時期に見直しを行う理由としては、以下の背景が挙げられます。
- 契約更新のタイミングで料金改定や値上げがある
- 法人割引の廃止・縮小が行われる
当社にも、「更新を機により安い電力会社に切り替えたい」「法人割引がなくなる前に見直したい」といったご相談が多く寄せられています。
最近は「期中解約(途中解約)」のサポートも増えている
大手電力会社からの乗り換えで最もネックになるのが、契約途中での解約に伴う違約金です。
契約満了時であれば違約金は発生しませんが、契約期間中に解約する場合は、「法人割引」「長期割引」「大口割引」などの割引特典を受けている場合に限り、その分の割引額を返金する形で違約金が発生することがあります。
ただし、実際の違約金額はそれほど大きくないことが多く、乗り換え後の削減効果が上回る場合は期中での解約を選択する法人も増えています。
また、法人割引などの特典を受けていない場合は、途中解約でも違約金が発生しないケースもあります。
この場合は契約内容を確認のうえ、メリットが大きければ早期に乗り換えを進めることも可能です。
乗り換え準備は「6か月前」から始めるのが理想
高圧契約の法人では、乗り換えの約6か月前から準備を始めるのが一般的です。
これは、低圧契約(小規模店舗など)に比べて、見積もりや契約手続きに時間がかかるためです。
高圧電力は使用量や時間帯によって単価が変動するため、電力会社ごとに個別の見積書を作成してもらう必要があります。
また、契約内容によっては「解約の1〜3か月前に通知が必要」な場合もあり、スムーズな切り替えには一定の準備期間が欠かせません。
したがって、契約更新の半年前を目安に、見積もり取得や契約内容の確認を始めるのが最も効率的です。
次の章では、実際に6か月前からどのような手順で乗り換えを進めるのかを解説します。
【法人・高圧】電力会社の乗り換え手順・方法
STEP1:現在の契約内容や電力の使用状況を確認する
まずは、乗り換えの約6か月前から準備を始めましょう。
他社のプランを検討する前に、現在の契約内容や使用状況をしっかり把握しておくことが大切です。確認しておくべき主な項目は以下の通りです。
- 契約プラン名
- 基本料金・従量料金の単価
- 契約電力(kW)
- 月ごとの電力使用量(kWh)
- 契約期間・更新月
- 法人割引などの特典内容
また、「こういうプランが良い」という希望条件があれば整理しておくとスムーズです。
ただし、提案を受けてから検討する形でも問題ありません。
◎30分値データ(デマンドデータ)も準備しておくと理想的
可能であれば、過去1年間の30分値データを用意しておきましょう。
30分値データとは、電気の使用状況を30分ごとに記録したデータのことで、電力の使い方を細かく分析することができます。
月ごとの使用量データだけでは、どの時間帯に多く使っているかがわかりません。そのため、30分値データをもとに分析できると、電力会社側もより精度の高い見積もりを提示できます。
なかには、このデータがないと見積もりを出せない会社もあるため、事前準備がおすすめです。
データの取得は、以下のいずれかの方法で行えます。
- 現在契約している電力会社に依頼する
- 見積もりを依頼する電力会社を通じて取得する
STEP2:電力会社に問い合わせて見積もり・面談を依頼する
次のステップは、乗り換えを予定している4〜5か月前を目安に、各電力会社へ見積もりを依頼することです。
2025年時点で、国内には770社以上の電力会社が登録されています。
その中から、できるだけ多くの選択肢を比較検討するために、最低でも10社程度には見積もりを依頼するのが望ましいでしょう。
複数社に見積もりを依頼する目的は、単に価格を比較するためだけではありません。
電力会社ごとに料金体系や契約条件が異なるため、自社の電力使用状況に最も適したプランを見つけるには、多くの候補を比較する必要があります。
また、各社の提案を同じ条件で比較することで、どのプランが最も自社に合っているかを明確に判断することができます。
さらに、複数社に見積もりを依頼していることを明確に伝えることで、電力会社側に競争意識が生まれ、より有利な条件での提案を受けられる可能性も高まります。
この段階では、単価だけでなく、供給条件や契約期間、違約金の有無などもあわせてヒアリングしておくとよいでしょう。
電力会社によっては、使用状況をヒアリングしたうえで提案内容を柔軟に調整してくれる場合もあります。こうした事前のやり取りを丁寧に行うことで、後の比較検討がスムーズになります。
電力会社の選び方や見積もり比較の具体的なポイントについては、次のステップで詳しく解説します。
STEP3:同一条件で正しく比較する
見積もりが出そろったら、次に行うのは同一条件での比較です。
このときに最も重要なのは、「どの期間のデータをもとに試算しているか」を必ず確認することです。
電力会社によっては、過去1年間の使用実績をもとに計算する場合もあれば、将来の市場価格を予測して試算している場合もあります。
中には、最も安く見える時期の数値だけを切り取って提示するケースもあるため、見積もりの前提条件や期間を明確にしておかなければ、正しい比較はできません。条件が異なる見積もりをそのまま比較してしまうと、実際より安く見えても契約後に割高になるといったリスクもあります。
また、見積もりを比較する際は、提示されたプランをしっかりと整理することが大切です。
電力会社のプランは主に「固定単価型」「市場連動型」「完全固定単価型」の3種類に大別されますが、それぞれの中でも燃料費調整の方式や、市場価格の反映方法などが異なります。
たとえば、固定単価型の中にも大手電力と同様の燃料費調整型(旧燃調・独自燃調など)があり、市場連動型の中にも市場価格と連動するタイプや、月平均を基準に請求されるタイプがあります。
さらに、季節によってプランを組み替える「ハイブリッド型」や、市場高騰時のリスクを抑える「上限付き市場連動型」など、バリエーションも豊富です。
そのため、単に「固定単価型同士」で比べるのではなく、同一のプラン種別・前提条件で比較することが不可欠です。
実際、固定単価型だと思って契約したものが、中身は市場連動型だったという相談も少なくありません。誤った比較を避けるためには、同一のプランを5社程度並べて、条件を揃えて比較検討することが基本です。
STEP4:各プランのメリット・デメリットを整理する
単価の安さだけで決めてしまうのは危険です。
以下のような契約条件や企業の信頼性も必ず確認しましょう。
- 契約期間の長さ
- 途中解約時の違約金の有無・条件
- 電力会社の経営基盤や供給実績
特に市場連動型プランでは、違約金が発生しない会社と発生する会社があるため注意が必要です。
高騰リスクを抑えたい場合は、違約金が発生しないプランを選ぶのが無難です。
また、コストだけでなく、安定供給できる体制があるかどうかも重視しましょう。
最終的には、乗り換えの約4か月前には契約先を決定しておくのが理想です。
STEP5:申し込み・契約手続きを行う
契約先を決定したら、いよいよ申込・契約手続きに進みます。以下の点を事前に確認しておきましょう。
- 請求方法(口座振替/銀行振込/クレジットカードなど)
- 請求書の受け取り方法(郵送/マイページ閲覧)
- 支払日・請求タイミング
また、契約に必要な主な情報は次の通りです。
- 現在の契約内容(契約先住所、供給地点特定番号、お客様番号)
- 電気主任技術者の情報(会社名・担当者名・連絡先)
- 請求関連情報(口座情報、請求先担当者など)
さらに、現在契約している電力会社に解約通知を行う必要があります。
この手続きは法人(契約名義人)側で行う必要があり、電力会社によっては「3か月前通知」が必要な場合もあるため注意が必要です。
書面提出が求められるケースと、口頭で受け付けてくれるケースがあるため、契約内容をよく確認してから進めましょう。
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STEP6:新しい電力会社からの供給が開始される
契約手続きが完了すると、契約開始日に合わせて新しい電力会社からの供給が始まります。
乗り換えといっても、電気が止まったり停電になることはありません。
これまで通り、同じ電線・同じメーターで電気が供給されるため、業務への影響は一切ありませんし、工事や費用がかかることもありません。
つづいては、電力会社の選び方と注意点について解説します。
電力会社の選び方
1. 対応エリアを確認する
電力会社によって、電気を供給できるエリアは異なります。
一般的には、北海道・東北・北陸・東京・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄の10エリアに分かれています。
特に、全国に複数の拠点を持つ法人の場合は、すべての拠点を同じ電力会社にまとめられるかを最初に確認しておくことが重要です。
地域によっては供給できない場合もあり、想定していた一括契約が難しいケースもあります。
実際に、全国に複数施設を運営している企業様からご相談を受けた際、拠点ごとに異なる電力会社を契約しており、請求・契約管理が複雑になっていた例もありました。
結果的に、コスト削減よりも管理業務の煩雑さが大きな負担となっていたのです。
2. 会社情報やシェア・実績をチェックする
次に、契約を検討する電力会社の経営基盤や実績を確認しましょう。
株主構成、売上規模、電力小売以外の事業内容、供給実績などを把握しておくことで、安定した取引ができるかを判断できます。
特に高圧電力を契約する場合は、供給実績やランキングを参考にするのも有効です。
ただし、シェアが大きい会社が必ずしも自社に最適なプランを提示するとは限りません。
規模の大きさや知名度だけで判断せず、あくまでひとつの参考指標として捉えることが大切です。
3. 複数社を比較する(自社で vs 一括見積もり比較サービス)
電力会社を選ぶ際は、必ず複数社の見積もりを比較することが基本です。
目安として10社以上に見積もりを依頼し、気になるプランが見つかった場合は、同一プランを提供している5社以上で比較すると精度が高まります。
ただし、単に見積もり金額を並べるだけでは正しい比較はできません。
燃料費調整額、電源調達費、容量拠出金などの変動要素は、電力会社によって算定時期や基準が異なり、単価の見え方も変わってきます。
そのため、「どの時点の数値をもとにしているのか」「どの項目が固定・変動なのか」を正確に把握する必要があります。
この作業は非常に複雑で時間がかかるのが実情です。
そこで当社「電力アドバイザーズ」では、経営基盤が安定していて、かつ競争力のある単価を提供している30社の電力会社を対象に、一括見積もり比較サービスを提供しています。
各社のプランを同一基準でまとめた比較表を無料で作成し、お客様にお渡ししています。
もちろん、当社が提示する電力会社の中から契約先を選ぶ必要はなく、契約の義務も一切ありません。
まずは比較データを参考に、最適な選択を検討していただくことが可能です。
4. 自社に合ったプランがあるか確認する
電力会社によって、提供している料金プランは大きく異なります。
単に「電気代が安くなる」という理由だけで判断すると、契約条件やリスク要因を見落とす可能性があるため注意が必要です。
まずは、その会社がどのタイプのプランを扱っているかを把握しましょう。
一般的には以下の3タイプが主流です。
- 固定単価型
- 市場連動型
- 完全固定単価型
この基本分類を理解した上で、各タイプの中にある細分化されたプラン(独自燃調型・上限付き市場連動型・ハイブリッド型など)を確認し、自社の使用状況やリスク許容度に合うかどうかを見極めることが重要です。
5. 契約条件を確認する(契約期間・解約違約金の有無)
同じプラン種別であっても、契約条件は電力会社ごとに異なります。
特に、契約期間の長さや解約時の違約金の有無・金額は、契約前に必ず確認しましょう。
3年・5年といった長期契約では、割引が適用されることもありますが、必ずしもお得になるとは限りません。
途中で他社に乗り換えたくなった際に、高額な違約金が発生する場合もあります。
また、約款や重要事項説明書に記載された条件は契約後の変更が難しいため、「プランの選定」と同じくらい慎重に契約条件を確認することが重要です。
電力会社の法人乗り換え事例
ここでは、当社「電力アドバイザーズ」が実際に支援した、法人のお客様による電力会社の乗り換え成功事例を2つご紹介します。
どちらも、ただ単に「安い会社に切り替える」だけではなく、信頼性・契約条件・リスク管理を含めた最適な選択をサポートしたケースです。
事例①:カンメタエンジニアリング株式会社様
― 関西電力からの乗り換えで電気代35%削減を実現 ―
▶ 背景
原材料費・人件費・電気代などの高騰により、製造業全体で経営コストの見直しが求められていた時期。カンメタエンジニアリング様でも、高圧契約の電気代が経営を圧迫している状況にありました。
▶ 乗り換えの効果
関西電力の高圧BSプランと比較して、年間で約454万円、35%の削減を実現。
▶ サポートのポイント
通常であれば、複数の電力会社に自ら問い合わせ、条件を整理・比較する必要があります。
しかし当社では、その一連の手間をすべて代行。見積もりを依頼したのは、上場企業や大手電力のグループ会社など、信頼性の高い電力会社のみです。
また、単価だけでなく、契約期間や違約金の有無、供給体制などの重要ポイントを一覧表で整理。
見積書の説明や契約手続き時には、2度の訪問で丁寧に対応いたしました。
| 「単に見積もりを集めるだけでなく、条件比較から契約手続きまで一貫してサポートしてもらえたのが大きな安心でした。」 — カンメタエンジニアリング株式会社様 |
▶ 成果サマリー
- 削減率:35%削減
- 年間削減額:約454万円
- 乗り換え元:関西電力 高圧BSプラン
工場の電気代削減見込額454万円!関西電力と比較して35%削減|カンメタエンジニアリング株式会社様
事例②:株式会社タクア様
― 九州電力からの乗り換えで電気代9.4%削減を実現 ―
▶ 背景
電気料金の上昇が続く中で、「現在の契約条件は本当に最適なのか」「もっと安心して安く契約できる電力会社はないか」
という課題を感じておられました。
▶ 乗り換えの効果
九州電力の業務用電力プランから乗り換えた結果、年間約324万円、9.4%のコスト削減を実現。
▶ サポートのポイント
初回面談時に、過去の電気使用量が分かる明細書をお預かりしただけで、
その後の電力会社とのやり取りや見積もり取得、条件整理はすべて当社が代行しました。
複数の電力会社のプランを、単価・契約期間・違約金・企業の信頼性などを含めて一覧化した比較資料を提示。数値だけでなく、安心・信頼を重視した総合的な判断ができるよう支援しました。
| 「以前は自社で2社とやり取りするだけでも大変でした。 すべて代行してもらえて、しかも比較表がとても分かりやすく、納得して選ぶことができました。」 — 株式会社タクア様 |
▶ 成果サマリー
- 削減率:9.4%削減
- 年間削減額:約324万円
- 乗り換え元:九州電力 業務用電力プラン
温浴宿泊施設の電気代削減見込額324万円!九州電力と比較して9.4%削減|株式会社タクア様
電力アドバイザーズの強み
これらの事例に共通しているのは、「企業に代わって煩雑な手続きをすべてワンストップで行う」という点です。
当社では、30社以上の電力会社と提携し、以下のサービスを無料で提供しています。
- 各社の見積もり取得
- 条件比較表の作成
- 契約・切り替えサポート
「どこに依頼すれば良いかわからない」「比較が難しい」「時間がない」といったお悩みをお持ちの法人様は、ぜひお気軽にご相談ください。
最適な電力会社選びを、プロが中立の立場でサポートいたします。
高圧・法人向け:電力会社の乗り換え時によくある質問
Q1. なぜ新電力のプランは安いのですか?
理由は大きく2つあります。
1つ目の理由は、設備コストがかからないためです。
新電力会社は、地域の大手電力会社のように自前の大規模発電所を保有していません。
その分、発電設備の維持管理にかかるコストを抑えることができ、結果として電気料金を安く設定できる仕組みになっています。
2つ目の理由は、柔軟なプラン設計ができるためです。
大手電力会社は地域全体を対象にした画一的な料金体系を採用していますが、新電力は法人や施設の特性に合わせてプランをカスタマイズできます。
たとえば、オフィスビル・ホテル・工場・病院・福祉施設など、それぞれの使用時間帯や負荷パターンに応じて、最も効率的な料金設計を提案できます。
このように、新電力は「柔軟な料金設定 × コスト構造の効率化」により、企業ごとの利用実態にフィットした安価なプランを実現しているのです。
Q2. 電力会社の乗り換えでトラブルになることはありますか?
実際に多いのは、「電気代が安くなると思って契約したのに、実際はあまり下がらなかった」というケースです。
契約時には各社が自社プランのメリットを強調するため、提示内容をそのまま鵜呑みにせず、試算条件や比較基準を必ず確認することが重要です。
また、なかには「省エネ商材を導入しないと契約できない」という条件付きの電力会社も存在します。
この場合、設備の導入によって省エネ効果が出るケースもありますが、現状の使用状況によっては効果が見込めないこともあります。
当社にも「省エネ設備を導入したが効果が出なかった」との相談が寄せられています。
なお、電力の切り替えに省エネ商材の設置は必須ではありません。
導入を勧められた場合は、コスト対効果を十分に検証し、本当に必要かどうかを見極めることが大切です。
Q3. 新電力に乗り換えると停電しやすくなりませんか?
ご安心ください。停電リスクや電気の品質が変わることは一切ありません。
新電力に切り替える際に変わるのは、「電気を販売する小売会社」だけです。
実際に電気を届ける「送配電」を担っているのは、これまでと同じ地域の送配電事業者(例:東京電力パワーグリッド、関西送配電など)です。
送電線や設備は従来のまま使用されるため、電気が不安定になったり、停電が起きやすくなったりすることはありません。
また、切り替え時にも電気の供給は途切れず、工場やオフィスの稼働に影響は一切ありません。
実際、多くの法人が業務を止めることなくスムーズに乗り換えを完了しています。
Q4. 一度新電力に切り替えると、大手電力に戻れなくなることはありますか?
以前、2022年前後の電力市場高騰時には、「新電力に切り替えた企業は大手電力などに再契約できない」という事例が一部で発生しました。
これは、燃料価格高騰によるコスト増を背景に、一部の大手電力会社が新規契約の受付を一時停止していたためです。
供給量を確保するための一時的な措置でしたが、その中には「新電力からの再契約を受け付けない」とするケースもあり、この対応が独占禁止法違反の可能性があるとして問題視されました。
経済産業省および公正取引委員会は以下のような観点で是正を求めています。
◎排他的取引(独占禁止法第19条):
他社との取引実績を理由に再契約を拒否することは、競争を不当に制限するおそれがあります。
◎取引拒絶(第3条・第19条):
公共性の高いエネルギー供給において、合理的理由なく取引を拒否することは不当とされます。
◎優越的地位の濫用(第2条第9項5号):
「新電力に切り替えた顧客は戻れない」とすることは、顧客に不当な不利益を与える行為と見なされる可能性があります。
これらの対応はすでに改善され、現在は大手電力への再契約もスムーズに行える環境が整っています。したがって、一度新電力に切り替えても「戻れなくなる」という心配はありません。



さらに、お客様へ電力会社から直接連絡が入ることはなく、煩わしいやり取りの手間も不要です。
